公衆衛生72巻9号

2008年09月発行

原著

デイサービスに通う高齢者への口腔，摂食・嚥下ケアの介入効果

著者： 森田久美子¹ 佐々木明子¹ 寺岡加代¹ 千葉由美¹ 山﨑恭子² 大塚陽一³ 中山京英³ 大島厚子³ 斉藤典子³

所属機関： ¹東京医科歯科大学 ²昭和大学 ³川越市歯科医師会

ページ範囲：P.753 - P.759

目的

　介護保険法が平成18年4月に改正され，予防を重視した一貫性・連続性のある総合的介護予防システムの確立が望まれている．

　介護予防策として運動器の機能向上・栄養改善・口腔機能の向上が3つの柱となっているが，なかでも口腔機能は「解剖学的位置関係から咀嚼・嚥下のみならず，発語にもかかわり，食や会話に直結する広範な機能である」¹⁾ことから，口腔機能の向上にとどまらず，さまざまな効果が期待できる．

参考文献

１) 寺岡加代：高齢者保健・福祉(4)口腔機能向上事業．日本公衛誌54(12)：871-873，2007

２) 菊谷武，米山武義，手嶋登志子，堀内ふき，宮武光吉，足立三枝子，石田光広，西脇恵子，田中甲子：口腔機能訓練と食支援が高齢者の栄養改善に与える効果．老年歯科医学20(3)：222-226，2005

３) Yoneyama T, Yoshida M, Matsui T, Sasaki H, Oral Care Working Group:Oral care and pneumonia. Lancet 354:515, 1999

４) Adachi M, Ishihara K, Abe S, Okuda K, Ishikawa T:Effect of　professional oral health care on the elderly living in nursing homes. Oral Surgery Oral Medicine Oral Pathology 94(2):191-195, 2002

５) 君塚隆太，阿部修，足立三枝子，石原和幸，加藤哲男，奥田克爾：高齢者口腔ケアは，誤嚥性肺炎・インフルエンザ予防に繋がる．日本歯科医学会誌26：57-61，2007

６) 三浦宏子，苅安誠，山﨑きよ子，荒井由美子：虚弱老人における摂食・嚥下障害に関するケアアセスメント．日本老年医学会雑誌41(2)：217-222，2004

７) 兵頭誠治，三島克章，吉本智人，菅原英次，菅原利夫：地域高齢者における口腔保健状況と歯科治療の必要性に関する研究．老年歯科医学20(1)：50-56，2005

８) 柿木保明，渋谷耕司・他：厚生労働省長寿科学総合研究事業「高齢者の口腔乾燥症と唾液物性に関する研究」平成13年度研究報告書，p97，2002

９) 山脇正永・他：脳血管障害後の誤嚥性肺炎予測因子の解析，嚥下アンケートと簡易検査法による検討．内科医学会誌17：81-86，2005

10) Lorish CD, Maisiak R:The face scale;a brief, nonverval method for　assessing patient mood, Arthritis ＆ Rheumatism 29(7):906-909, 1986

11) 足立三枝子，原智子，斉藤敦子，坪井明人，石原和幸，阿部修，奥田克爾，渡邉誠：歯科衛生士が行う専門的口腔ケアによる気道感染予防と要介護度の改善．老年歯科医学22(2)：83-89，2007

12) 今井宏美，井上映子，麻賀多美代，麻生智子，大谷眞千子，杉原直樹，今井光枝，伊藤かづ子：介護老人保健施設に入所する要介護高齢者における生活状況および口腔状態の実態調査．千葉県立衛生短期大学紀要24(2)：13-16，2006

13) 山本健，山近重生，今村武浩，木森久人，塩原康弘，千代情路，森戸光彦，山口健一，長島弘征，山田浩之，斎藤一郎，中川洋一：ドライマウスにおける加齢の関与．老年歯科医学22(2)：106-112，2007

14) 花井正歩，玉澤佳純，高藤道夫，菊地雅彦，渡辺誠：高齢者の味覚機能に及ぼす要因に関する研究．老年歯科医学19(2)：94-103，2004

15) 田村文誉，菊谷武，須田牧夫，青木美好子，清水夏子，丸山みどり：口腔機能訓練を行った要介護者の口腔にかかわる諸症状の変化―聞き取り調査の結果より．老年歯科医学20(3)：222-226，2005

16) 田山二朗：【加齢と音声障害】むせと音声障害．ENTONI 20：33-39，2002

17) 厚生科学研究「口腔保健と全身的な健康状態の関係」運営協議会(編)：8020者のデータバンクの構築について．pp76-107，財団法人口腔保健協会，2000