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連載 働く人と健康―精神科臨床医の立場から・1【新連載】
文献概要
「製額賞与」のことを併説しなければ次の節で諒解がゆきかねる.これはつまり日給でありながらかつ集団受負の一部に関与せしめて,自からその業を勢出さねばならなくなるよう仕向けたものだ.要するに私が少々なまけても日給は貰えるが,製額をあげぬと賞与が貰えなく,その製額賞与と日給を合わせて,やっとどうにか賃金らしく盛り立ててある.換言すれば紡績工場の日給制度は,その日給額が「本日給」と「製額賞与」に分かれているのだ(「女工哀史」1)126-7頁).
紡織工場のごとく喧噪な処で,少々体が悪くとも我慢して長時間働かねばならぬことは,実にこの精神病と大なる関係があるように思われる(「女工哀史」1)369頁).
紡織工場のごとく喧噪な処で,少々体が悪くとも我慢して長時間働かねばならぬことは,実にこの精神病と大なる関係があるように思われる(「女工哀史」1)369頁).
参考文献
1) 細井和喜蔵:女工哀史.岩波書店,1954(単行本の初版は1925年,改造社より)
2) 警察庁生活安全局地域課:平成19年中における自殺の概要資料,2008(平成20)年6月.
3) 樋口輝彦編:自殺企図―その病理と予防・管理.永井書店,2003
4) 厚生労働省:平成17年患者調査
5) 社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所:『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果,2008
6) 厚生労働省大臣官房統計情報部:平成14年労働者健康状況調査の概況.
7) 住友信託銀行調査部:知っておきたい日本経済70の勘どころ.日本放送出版協会,2006
8) 二宮厚美:日本経済の危機と新福祉国家への道.新日本出版社,2002
9) 滝田誠一郎:人事制度イノベーション.講談社,2006
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11) 天笠崇:成果主義とメンタルヘルス.新日本出版社,2007
12) 天笠崇:成果主義とメンタルヘルス.サテライトシンポジウム1 過重労働と働く人のメンタルヘルス,第81回日本産業衛生学会総会講演記録集(印刷中)
13) 朝野煕彦,小島隆矢,鈴木督久:入門共分散構造分析の実際.講談社,2005
14) 厚生労働省(編):平成20年版労働経済白書.日経印刷株式会社,2008
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