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特集 これからの予防接種
麻疹排除と麻疹風疹混合(MR)ワクチン追加接種の取り組み
著者: 多屋馨子1
所属機関: 1国立感染症研究所感染症情報センター
ページ範囲:P.726 - P.731
文献購入ページに移動世界保健機関(WHO:World Health Organization)は,麻疹を天然痘,ポリオに次いで積極的に対策を取るべき感染症に位置づけ,日本を含めた西太平洋地域(WPRO:Western Pacific Regional Office)は,2012年を麻疹排除(elimination)の目標年と設定している.
わが国では,2006年春に茨城県南部,千葉県から始まった麻疹の地域流行が2007年には全国流行となり,関東地方を中心に,多くの大学や高等学校が麻疹による休校となり,麻疹ワクチン接種希望者の急増,麻疹に対する抗体測定希望者の増加が,麻疹含有ワクチンの不足,麻疹抗体測定用の検査キットの不足といった社会問題にも発展したことは記憶に新しいところである.
こういった混乱が発生した理由として,2007年の流行が,従来,わが国で認められていたような乳幼児を中心とする流行ではなく,10~20代の思春期から若年成人を中心とする流行となったことが,その要因の1つに挙げられている.
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