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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻10号

2009年10月発行

文献概要

特集 これからの予防接種

日本脳炎ワクチンの再開に向けて

著者: 加藤達夫1

所属機関: 1国立成育医療センター

ページ範囲:P.737 - P.740

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はじめに

 日本脳炎の定期予防接種は,従来のマウス脳日本脳炎ワクチンの接種後副反応に関する懸念から,2005年5月以降厚生労働省の「積極的勧奨の差し控え」の勧告により接種の際には慎重を期した実施が求められている1~3).本年2月の細胞培養日本脳炎ワクチン(以下,新型ワクチンと略)が製造販売承認を受け,厚労省は6月2日に日本脳炎の予防接種実施規則の一部改正を通知し,新型ワクチンは定期接種第1期に用いることが可能となった2,3)

 新型ワクチンはその製法上の特性からも従来のマウス脳ワクチンに比べ安全性がさらに向上していると考えられるが,現在進行中である市販後の大規模調査により,追加接種における有効性,安全性が確認されるとともに,ワクチンの供給体制が整えば現在の「積極的勧奨の差し控え」の措置は解除され,定期接種全対象者への接種が可能となるものと思われる.

 本稿では,今春認可された新型日本脳炎ワクチンについて解説するとともに,実施規則改正の背景,そして日本脳炎予防接種の今後の課題について述べる.

参考文献

1) 定期の予防接種における日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨の差し控えについて(勧告):平成17年5月30日付け健感発第0530001号
2) 予防接種実施規則の一部を改正する省令(平成21年厚生労働省令第117号)
3) 定期の予防接種における日本脳炎ワクチン接種の取扱いについて:平成21年6月2日付け健発第0602002号,薬食発第0602001号
4) 国立感染症研究所感染症情報センター:感染症発生動向調査週報告(IDWR):2002年第1-2週合併号
5) 国立感染症研究所感染症情報センター:病原微生物検出情報(IASR)30(6):147-148,2009
6) Hanna JN, et al:Japanese encephalitis in north Queensland, Australia, 1998. Med J Aust 170(11):533-536, 1999
7) Tsai TF:New initiatives for the control of Japanese encephalitis by vaccination;Minutes of a WHO/CVI meeting, Bangkok, Thailand, 13-15 October 1998. Vaccine 18 suppl 2:1-25, 2000
8) 厚生労働省:予防接種後健康状況調査集計報告書,2006年
9) 高見沢 昭久:ワクチンの事典.pp68-79,2004
10) 予防接種ガイドライン等検討委員会:予防接種ガイドライン,2009年度版
11) (財)阪大微生物病研究会:乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンジェービックVインタビューフォーム:2009年5月(第1版)
12) 石川 豊数・他:継代培養細胞を用いた不活化日本脳炎ワクチンの開発.臨床とウイルス26(5):340-350,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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