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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻10号

2009年10月発行

文献概要

フォーラム

専門病院におけるがん患者の就労意欲に関する調査

著者: 川上ちひろ1 奥野滋子2 中島淳3 市川靖史1

所属機関: 1横浜市立大学大学院医学研究科臨床腫瘍科学 2神奈川県立がんセンター緩和医療科 3横浜市立大学附属病院消化器内科

ページ範囲:P.790 - P.792

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 平成17年度人口動態調査によると,がんは40歳以降の死亡原因第1位であり,30歳代においても自殺に次ぐ順位である1).また,国立がんセンターの調査では64歳までにがんに罹患する確率は男女とも11%であり,生涯でがんに罹患する確率は男性49%(2人に1人),女性37%(3人に1人)であると報告している2).高齢化社会では,高齢者本人のがん罹患も重要な課題であるが,社会を支える働き盛りである30~60歳代におけるがん罹患は,本人や家族のみでなく,日本の経済に対しても大きな影響を与える課題と言える.米国の調査によると,がん患者の92%は仕事に復帰しているが,81%は勤務時間が減少していたと報告している3).もちろんがん種や進行度によりその後の経過も異なるため,すべてのがん患者が仕事に復帰できるわけではないが4),仕事を継続することを希望するがん患者に対するサポートを検討する必要がある.

 本研究は,就労を希望するがん患者の希望する就労体系や条件と,企業側の制約をどのように調整していくかを研究するための基礎調査として,告知時に就労していたがん患者に対し,告知後の就労意欲について調査,分析したものである.

参考文献

1) 平成17年度人口動態統計.〈http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai05/index.html〉. Accessed, 2008.
2) 国立がんセンターがん対策情報センター.〈http://ganjoho.ncc.go.jp/public/statistics/pub/update.html〉. Accessed, 2008.
3) Steiner JF, Cavender TA, Nowels CT, et al:The impact of physical and psychosocial factors on work characteristics after cancer. Psychooncology 17(2):138-147, 2008
4) Short PF, Vasey JJ, Tunceli K:Employment pathways in a large cohort of adult cancer survivors. Cancer 103(6):1292-1301, 2005
5) Pryce J, Munir F, Haslam C:Cancer survivorship and work;symptoms, supervisor response, co-worker disclosure and work adjustment. J Occup Rehabil 17(1):83-92, 2007
6) Taskila T, Lindbohm ML, Martikainen R, et al:Cancer survivors' received and needed social support from their work place and the occupational health services. Support Care Cancer 14(5):427-435, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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