文献詳細
特集 薬物乱用
文献概要
はじめに
わが国の薬物乱用・依存状況は,覚せい剤事犯者数を基に語られてきた歴史がある.今日までにその覚せい剤の乱用期は3期に分けられ,今日は1995年に始まった第3次覚せい剤乱用期1)にある(図1).しかし,その第3次覚せい剤乱用期もすでに10年以上が経過しており,2007年にはリタリン問題が,2008年秋には角界および大学生における大麻問題が,そして今年の8月には芸能人におけるMDMA,覚せい剤問題がマスメディアを賑わせたように,この10余年の中で,わが国の薬物乱用状況は大きく変化してきている.
本稿では,わが国全体での薬物乱用・依存状況(本稿で扱う薬物とはアルコール,ニコチンを除く薬物についてである)を反映していると目される統計資料を基に,わが国の薬物乱用・依存の今日的状況を考察したい.
わが国の薬物乱用・依存状況は,覚せい剤事犯者数を基に語られてきた歴史がある.今日までにその覚せい剤の乱用期は3期に分けられ,今日は1995年に始まった第3次覚せい剤乱用期1)にある(図1).しかし,その第3次覚せい剤乱用期もすでに10年以上が経過しており,2007年にはリタリン問題が,2008年秋には角界および大学生における大麻問題が,そして今年の8月には芸能人におけるMDMA,覚せい剤問題がマスメディアを賑わせたように,この10余年の中で,わが国の薬物乱用状況は大きく変化してきている.
本稿では,わが国全体での薬物乱用・依存状況(本稿で扱う薬物とはアルコール,ニコチンを除く薬物についてである)を反映していると目される統計資料を基に,わが国の薬物乱用・依存の今日的状況を考察したい.
参考文献
1) 和田清:薬物乱用の現状と歴史.神経精神薬理19(10):913-923,1997
2) 平成20年版犯罪白書.法務総合研究所,2008
3) 和田清,尾崎茂,近藤あゆみ:薬物乱用・依存の今日的状況と政策的課題.日本アルコール・薬物医学会雑誌43(2):120-131,2008
4) 和田清,嶋根卓也,近藤あゆみ:薬物使用に関する全国住民調査.平成19年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)「薬物乱用・依存等の実態把握と「回復」に向けての対応策に関する研究(H19-医薬-一般-025)主任研究者:和田清」研究報告書.pp15-95,2008
5) 尾崎茂,和田清,大槻直美:全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査.平成20年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)「薬物乱用・依存等の実態把握と「回復」に向けての対応策に関する研究(H19-医薬-一般-025)主任研究者:和田清」研究報告書.pp87-134,2009
掲載誌情報