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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻12号

2009年12月発行

文献概要

特集 がん予防

電磁界と発がんリスク

著者: 武林亨1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学

ページ範囲:P.927 - P.931

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はじめに

 電気や電波の利用に伴って発生する電磁界は,熱作用と刺激作用を持つことがよく知られている.電磁界の健康影響を防止するための許容曝露レベル(日本では,電波防護指針)も,電磁界曝露によるこれらの影響を防止することを目的として設定されている.

 しかし,いくつかの疫学研究が電磁界曝露による発がんリスク上昇を示唆したことから,超低周波あるいは高周波電磁界の非熱作用,とりわけ発がん性が注目されるようになった.1996年に開始されたWHO(世界保健機関)の国際電磁界プロジェクト(The International EMF Project)は,静電磁界から高周波電磁界までの幅広い周波数帯について,健康リスク評価を行うとともに,各国政府への勧告や市民への情報提供,優先研究課題の選定などを行うとされる.本稿では,その動向に触れながら,電磁界の発がんリスクについてまとめる.

参考文献

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13) WHO:電磁界のリスクに関する対話の確立.http://www.who.int/peh-emf/publications/riskjapanese/en/(2009年9月21日)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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