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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻12号

2009年12月発行

文献概要

連載 保健師さんに伝えたい24のエッセンス―親子保健を中心に・9

5歳児健診をめぐって:発達障害を中心に

著者: 平岩幹男12

所属機関: 1国立成育医療センター 2

ページ範囲:P.957 - P.961

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 最近5歳児健診が2つの理由から話題となっています.1つは多くの自治体では母子保健法に規定された3歳児健診以降,就学時健診まで健診がありません.しかしこの間の子どもたちの心身の発達には目覚しいものがありますし,健康上の問題を抱えることも少なくありません.ですからこの時期に健康状態を把握する必要もあります.もちろん5歳頃の健診は1歳6か月児健診や3歳児健診のように,母子保健法に年齢を指定して規定されているわけではありません.この時期に健診を行うことの根拠は,母子保健法第13条の「必要とされるときに健診を行う」に該当します.5歳周辺の健診は,これまでにも発達や歯科保健を含む身体的なチェックを主眼として,少ないながらも実施してきた地域もあります.

 もう1つは発達障害に関連する問題であり,最近になってADHD(Attention deficit/hyperactivity disorder:注意欠陥・多動性障害)や高機能自閉症(High functional autistic spectrum disorder:HFASD,Asperger症候群,障害と多くが共通する)などを含む発達障害が注目されるようになり,これらへの早期発見や早期対応を目指しての5歳児健診が,鳥取県や栃木県,埼玉県などで開始されるようになりました.発達障害については次回お話ししますが,法的な根拠としては,発達障害者支援法第5条の「市町村は,母子保健法第十二条及び第十三条に規定する健康診査を行うに当たり,発達障害の早期発見に十分留意しなければならない」が挙げられます.これら2つの理由から,特に今後は発達障害の子どもたちの早期発見を目的とした健診を行うことが広がってくる可能性があります.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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