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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻2号

2009年02月発行

文献概要

連載 研修医とともに学ぶ・10

断酒会から学ぶ,傾聴と共感の心

著者: 嶋村清志1

所属機関: 1滋賀県甲賀保健所

ページ範囲:P.152 - P.152

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 新医師臨床研修制度における地域保健・医療研修において,地域精神保健・福祉研修は極めて重要なメニューです.私はこの分野の研修目標として,精神障害者が地域で安心して暮らせるために,研修医は医師として精神保健福祉法の趣旨を理解するとともに,各種制度や社会資源を活用して,精神障害者やその家族に対して適正な対応ができる能力を身につけていただきたいものだと思っています.精神緊急対応や家庭訪問,社会復帰教室などはこの分野での重要な方略になると考えられ,地域保健研修のメニューとして全国的に取り入れられているかと思います.私も前任地の滋賀県高島保健所では,精神の社会復帰教室の一環として,農業体験をする機会があり,研修医には定例的に参加してもらっていました(写真1).

 しかしながら,地域精神保健・福祉分野で対象となる方々は,統合失調症などいわゆる狭義の精神疾患だけではありません.今や周辺疾患や薬物依存,アルコール依存症などで苦しむ人々は全国で何万人とも言われる時代であり,誰もが陥る可能性がある社会全体の問題となっています.そこで,甲賀保健所では,研修医がアルコール依存症の方々やその家族らの「ありのままの姿」に対峙して,辛かった,あるいは辛い気持ちを傾聴し,共感できるような方略を研修メニューに取り入れるようにしています.そのひとつが定例的に行われている「断酒会」への参加です(写真2).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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