icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生73巻3号

2009年03月発行

雑誌目次

特集 公衆衛生の人づくり・2 専門性を支える公衆衛生人教育

フリーアクセス

ページ範囲:P.169 - P.169

 平成21年度を新たな公衆衛生人づくりの元年となることを切望して,前号に引き続き「公衆衛生の人づくり」を取り上げさせていただきます.

 公衆衛生人教育は長い間,都道府県や保健所の現任教育によって担われてきました.保健所には医師の所長がおり,保健師,栄養士,監視員など多くの技術職員がいて,先輩,同僚から多くのことを教えられ,鍛えられ,そして異動を繰り返す中で視野も広がる機会を得て,いつの間にか自他ともに認める公衆衛生人となったというのが一般的ではなかったでしょうか.当時の保健所は専門職の多い組織であり,保健所は地域の公衆衛生課題を一手に引き受ける唯一の存在であり,保健師活動も地域担当制のもとで担当地域の人々のすべての健康問題に関わっていたという条件があったからであります.

【対談】今日の公衆衛生人の育成と教育の課題

著者: 尾身茂 ,   高鳥毛敏雄

ページ範囲:P.170 - P.175

本誌 医療崩壊,高齢社会の進展,生活習慣病の増加,地球環境問題など,昨今は重要な公衆衛生問題が山積みとなっています.公衆衛生人に期待されていることは多くなってきており,その人材育成と教育が大きな課題となってきています.

 本日は国内外で公衆衛生の実務に長年携わってこられたお立場から,尾身先生と高鳥毛先生に「公衆衛生人の育成と教育の課題」について語り合っていただきたいと思います.

日本公衆衛生学会における公衆衛生専門職制度の検討

著者: 相澤好治

ページ範囲:P.176 - P.179

 公衆衛生の目的は,すべての人々があらゆる生活の場で健康を享受することのできる公正な社会の創造であるとされている1).公衆衛生活動はすべての生活活動に関わるため,多職種が参加する必要があり,活動する場所も多様である.それぞれの担当者が各々の技量を発揮し,他職種と協同して活動に参加することが求められる.協同して取り組む上で,職種間に共通する公衆衛生マインドと公衆衛生に関するコアとなる知識および能力が必要となる.

 現在は,その能力を認定するシステムが存在しないため,公衆衛生従事者は個別に目標を設定して勉強し,修練している.それはそれでよいと思われるが,意欲のある公衆衛生従事者がより高いレベルの到達目標を持ち,かつあるレベルに到達した公衆衛生専門職を社会的存在と認知させるためには,その評価と認定が必要であると思われる.専門医制度と異なり,公衆衛生専門能力が認定されても,今のところ実利は期待しえないが,自己研鑽の推進力として機能すれば価値があると思われる.

 認定母体としては,分野の広がりのある日本公衆衛生学会が最も適切であると考えられ,實成文彦理事長の諮問を受けて,3年間にわたり学会内部の「公衆衛生専門職制度検討委員会」で検討してきた.その概要がほぼまとまったので,本稿で紹介したい.なお実施に向けての検討については,平成20年秋から新たに専門職委員会(高野健人委員長)が発足した.

現場を支える結核対策指導者養成研修の現状と課題

著者: 加藤誠也

ページ範囲:P.180 - P.183

 わが国の結核罹患率は近年低下傾向を続けており,2007年には人口10万対19.8を初めて下回った.現在の傾向が持続すれば,2020年頃には人口10万対10以下の低まん延状態になるものと期待される.現在,結核対策には高齢者,社会経済的弱者,罹患率の大きな地域格差,集団感染事件,多剤耐性結核,外国人結核など多くの問題が残っているが,低まん延状態すなわち患者の減少に伴ってさらに顕在化する問題として,技術的適正性の維持・確保がある.本稿ではこのような状況を踏まえながら,研修開始から15年以上経過した結核対策指導者養成研修についてアンケートを行ったので,調査結果を元に検討する.

現場の感染症対策を担う専門家教育の現状と課題―FETP

著者: 中瀬克己

ページ範囲:P.184 - P.189

FETP(実地疫学専門家養成コース)とは

 FETP(Field Epidemiology Training Program in Japan:実地疫学専門家養成コース)は,米国CDC(Center for Diseases Control and Prevention:疾病予防管理局)でのプログラムを基として,ヨーロッパ,アジアなど世界の多くの国で行われている専門家養成コースである.わが国やオーストラリアなどのように修了時に公衆衛生修士の取得が可能なプログラムもある.FETPの研修は6つの要素から成っているが,その核となるアウトブレイク調査を通じてどのような教育がなされているか,私自身の経験を例として紹介したい.その後に公衆衛生行政における実地疫学とその人材養成について述べたい.

公衆衛生人教育における大学の現状と課題

著者: 尾﨑米厚

ページ範囲:P.190 - P.195

医学科卒前教育の重要性

 医学部医学科における公衆衛生学・衛生学教育には,2つの目標があると考えられる.1つは,医師,医療者になる者に対する「公衆衛生・衛生学」的な知識,考え方,態度を身に付けてもらうこと,2つ目は,公衆衛生学,衛生学を志す後継者を育てるということである.実際の卒後の進路を見ても,ほとんどが臨床医療現場で働く者になるので,大学においては,前者の教育は重要である.また,新臨床研修制度が始まり,すべての卒業生が最低2年間は卒後臨床研修を受けるようになり,特に地方大学においては,付属病院や地域の中核病院よりも都会の病院で研修する者が増加したため,地域医療の担い手不足のみならず,公衆衛生学,衛生学系講座の若手スタッフや大学院生を確保することが極めて困難な状況に陥っている.このため,後継者育成は重要だが,困難な課題となっている.

保健所で人を育てる

著者: 細川えみ子

ページ範囲:P.196 - P.199

 編集部からの原稿依頼は「公衆衛生人の育成における現場の課題」ということであった.公衆衛生を支える人材の質の確保・向上は重要課題であり,後継者の育成は私たちの重要な責務である.しかし,保健所という現場も行政改革の嵐の中で人員削減が進み,社会保障制度改革で福祉制度が大きく変わる中,公衆衛生行政も方向性を見失いがちである.

 こうした中で人材育成を語るには,公衆衛生行政のあり方とそれに基づき求められる公衆衛生専門家の能力について,考察せざるを得ない.個人的には保健所での経歴がいつの間にか30年を超え,時代の変化やニーズの多様化などに伴い現場が変遷してくるのを見てきた中で,あるべき姿についてや方向性への疑問など思うところは多い.今回与えられたこの機会に,日々感じていることを書き下ろしてみた.

英国における公衆衛生人現任教育の現状―Faculty of Public Healthプログラム

著者: 高鳥毛敏雄

ページ範囲:P.200 - P.205

公衆衛生制度の基本構造

 リバプールで,1848年にWilliam Duncanがはじめて保健医官(Medical Officer of Health:MOH)に就任し,生活環境改善などの予防的な公衆衛生施策の実施により貧困地域における乳幼児の死亡率を大幅に改善する著名な功績を上げたことから,1871年に自治体に保健医官を置くことが制度化されるようになった.1875年の公衆衛生法改正により全国の自治体に波及していった.公衆衛生の担い手は「自治体」とし,「保健医官」が存在する形が整えられた.この制度の特徴は,「自治体」とそこに「専門職」を位置づけたということにある.これ以後,自治体の中の専門職を専門職らしくどのように育て,仕事をさせていくかが,公衆衛生対策の重要な課題として今日まで大きな命題として存在し続けている.

視点

ボランティアセクターから見たエイズ予防の現在

著者: 鬼塚哲郎

ページ範囲:P.166 - P.167

 本稿では,わが国のエイズ予防の現状をボランティアセクターの視点から分析することで,現状の問題点を明らかにし,今後の展望を探ってみたい.なお,ここで言う「ボランティアセクター」とは「民間非営利セクター」「NPOセクター」と同義であり,ある地域において自発性に基づきながら公益的活動を行う人と組織を指す.

特別寄稿

ワーキングプア―解決への遠い道

著者: 板垣淑子

ページ範囲:P.207 - P.210

「年越し派遣村」で明けた新年

 今年の年越しは,「年越し派遣村」の取材に追われました.12月下旬,「派遣切り」の数が8万人を超えるということが厚生労働省によって発表されました.数多くの失業者が職を求めて東京に殺到することが予想され,派遣村は,そうした人たちの受け皿として用意されたものでした.当初,100人程度が集まるものと予想され,テントや食料が準備されましたが,最終的には500人余りが村民(派遣切りされた後,住居がない人たち)として名簿に登録しました.朝,昼,夜の炊き出しでは,数百メートルの長い列ができていました.その新年の光景を見ていて「これが日本なのだろうか…」と暗澹たる気持ちにさせられました.ワーキングプアだった派遣労働者たちが仕事を失い,寮を追われて住まいを失うと,ホームレスになってしまう以外に道はないのです.ワーキングプアの番組を最初に放送してから3年余り.事態は深刻化し,解決が遠のいているような気がしてなりません.

連載 働く人と健康―精神科臨床医の立場から・3

ワーキングプアとメンタルヘルス

著者: 天笠崇

ページ範囲:P.211 - P.215

 社員と職工の階級的差別は実に甚い.一例をここに挙げるならば工場には数番の電話が取ってあってそのいずれもが何時でも公用で塞がっている訳ではない.…職工はどんな急用の場合でも断じてその使用を許されることがない.…いずれの工場へ行っても,女工は十年おっても二十年おっても依然として女工以上の待遇へ登れない…女給仕が傭員待遇で毎半期の賞与を五十円から百円までくらい貰うのに対して,女工は十円か二十円しか貰えない.…「働く者貧乏,貧すりゃドンする」という諺は実にうがっている(『女工哀史』1)52~53頁).

パートナーシップ時代の国際保健協力―これから国際保健協力を志す若者への10章・6

新たな国際協力メカニズムの出現―世界エイズ・結核・マラリア対策基金などの活躍

著者: 武井貞治 ,   鷲見学 ,   中谷比呂樹

ページ範囲:P.216 - P.220

 第1~5章の中で,国際保健のランドスケープの変化を見てきたが,こうした構造変化の大きな要因は,パートナーシップ型の支援を支える新たな国際協力メカニズムの出現である.特に,世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)に見られるように,豊富な資金量を基盤として発展途上国における大型の保健支援を行うと同時に,途上国ごとに設置される国別調整メカニズム(CCM:Country Coordinating Mechanism)を通じて,保健支援のパラダイムを世界的なレベルで変革してきた.こうした構造改革は,日本がG8議長国を務めた2000年の九州・沖縄サミット以降活発化しており,ゲイツ財団や米国の大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)に見られるように,大型の保健支援が特徴となっている.

 本稿では,こうした新たなメカニズムの出現を概観するとともに,増大する国際保健の資金量と世界の抱える実情,そして日本の国際貢献について解説する.

ドラマティックな公衆衛生―先達たちの物語・3

「公共」の精神による衛生活動―後藤新平

著者: 神馬征峰

ページ範囲:P.221 - P.223

…比良目の目を鯛の目にすることはできんよ(文献1),p476).

 

生物学的原則に基づく行政

 後藤新平(1857年7月24日~1929年4月13日)は,明治から昭和初期の医師,官僚,政治家である.多くの要職に就いて,多方面で活躍した──台湾総督府民政長官,満鉄初代総裁,逓信大臣,内務大臣,外務大臣,東京市(現・東京都)第7代市長,ボーイスカウト日本連盟初代総長,東京放送局(のちのNHK)初代総裁,拓殖大学第3代学長など.

 山のように肩書きを持ってはいるが,それなしでも個人で通用した政治家,それが後藤新平である(文献2),p58).

地域における自殺対策の新展開―自殺は予防できる・12【最終回】

自殺対策の最新の動向

著者: 本橋豊 ,   金子善博

ページ範囲:P.224 - P.227

国の自殺対策の最新の動向1)

 日本の自殺対策の推進体制の要は,自殺対策基本法で定められた自殺総合対策会議である.この会議の会長は内閣官房長官であり,内閣総理大臣の指名する内閣府特命担当大臣(自殺対策)他の9人の国務大臣によって構成されている.そして,自殺対策に関する事務を所掌する内閣府自殺対策推進室(平成19年4月1日設置)が,関係府省により実施される自殺対策に関する施策の連携を図っている.平成19年6月に閣議決定された自殺総合対策大綱では自殺対策の3つの基本認識を示し,自殺対策基本法で示された9つの基本的施策に沿って46施策を設定している.

 大綱に基づき,民間の有識者が関与する自殺対策推進会議において策定後1年間の自殺対策の評価が議論され,その結果等を踏まえて,平成20年10月31日開催の自殺総合対策会議において,当面強化し加速化していくべき施策として「自殺対策加速化プラン」が策定された.また,自殺総合対策の一部改正を行い,(1)「5.適切な精神科医療を受けられるようにする」の中に,「うつ病以外の精神疾患等によるハイリスク者対策の推進」を追加し,(2)「6.社会的取組で自殺を防ぐ」の中に,「インターネット上の自殺関連情報対策の推進」を追加した.

PHNに会いたい・17

―神奈川県横浜市―大都市圏の保健(師)活動を考える(上)

著者: 荘田智彦 ,   海原逸子 ,   大浜悦子 ,   平智子 ,   田中みを ,   田中美穂 ,   藤井深雪

ページ範囲:P.228 - P.235

はじめに(連載のまとめに向けて)

 2007年9月号から18回の約束で始まった本連載も,いよいよ後2回を残すのみとなりました.「保健師の専門性が見失われる危惧を強く感じる.時代の流れに逆らえないという思いと,でもこのままでいいのだろうかという思い」を共有することから始まった新しい時代に相応しい〈PHN探し〉の全国行脚でした(「連載のはじめに」2007年9月号).お蔭様で各地の心ある保健師たちの協力を得て,「公衆」の「生命や健康」を衛(まも)る仕事として保健活動を続ける,多くの「PHNモデル」たちに会うことができました.

 多くの取材は地方を舞台にやってきましたが,最後に取り上げるのは,大都市の行政保健の活動と私たち市民の意識についてです.正直,大都市では一生一度も保健師さんと接点なく過ごしてしまう人も方も多かろうと思いながら,「見えない」と言われて久しい大都会の保健師(PHN)活動に迫ってみようと思います.取材をお願いしたのは,人口365万,今も毎年20,000人ずつ増加しているという神奈川県横浜市(写真1)です.片や地方には毎年500人も減って過疎化で存亡の危機に陥る町や村のあることを思えば,信じられない数字です.もっと驚くのは横浜の人口は,1945(昭和20)年には62万人,1951年には100万人台になり,1962年150万人,1968(昭和43)年に200万人,1985(昭和60)年12月には300万人の大台に乗り,未曽有の速度で集中,肥大化を遂げて来たということです.

 本年6月開港150年の記念行事を控え,「みなとみらい」に象徴される近代的都市として発展を続ける横浜市ですが,市民の暮らしはどうなっているのでしょうか.取材は2008年11月下旬から12月にかけて行いました(以下本文中敬称略).

衛生行政キーワード・53

難病対策

著者: 海老名英治

ページ範囲:P.237 - P.239

 わが国では昭和47年に策定された「難病対策要綱」に基づき,難病対策が行われてきた.難病となりうる疾患については様々な意見があるが,この要綱では,国として対策を行う疾患の範囲について,いわゆる医学的な観点から「原因不明,治療方法未確立であり,かつ,後遺症を残すおそれが少なくない疾病」および,いわゆる社会的な立場の観点から「経過が慢性にわたり,単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く,また精神的にも負担の大きい疾病」として整理している.

 この2つの考え方に基づく疾患について,「調査研究の推進」,「医療施設(等)の整備」および「医療費の自己負担の解消(軽減)」に昭和47年から,また平成に入り「地域における保健医療福祉の充実・連携」および「QOLの向上を目指した福祉施策の推進」に取り組んでいるところである.

 本稿では,簡単にこれまでの取組を振り返るとともに,今後の方向性を述べたい.

研修医とともに学ぶ・11

和顔とまなざし~親が子を思う心から学ぶ

著者: 嶋村清志

ページ範囲:P.236 - P.236

 地域保健・医療研修における母子保健・福祉事業に関連する方略は豊富にあり,多くの保健所で研修メニューに組み込まれていると思います.特に市・区型保健所では,実際にそれぞれの保健所で乳幼児健診や予防接種等が実施されており,研修医の方略としては最適であろうと思われます.一方,甲賀保健所のように県型の保健所では,管内市町村が実施した乳幼児健診の結果,市町村から紹介された児の二次健診の場としての療育相談事業(小児神経・小児整形・小児眼科)として実施されているところが多いかと思います.

 そもそも地域母子保健・福祉研修のねらいは,母子保健・福祉事業の社会的意義と関連する地域システム(児童虐待など)について理解することだけでなく,保健所および市町村の母子保健各種事業(健診・予防接種等)の現場を経験し,(母)親や乳幼児への配慮ある適切な対応ができるよう,全人的な態度を身に付けていただきたいと思っています.

「公衆衛生」書評

「精神科身体合併症マニュアル」―精神疾患と身体疾患を併せ持つ患者の診療と管理 フリーアクセス

著者: 澤温

ページ範囲:P.215 - P.215

 単科の精神科病院で最も頭を痛めるのが精神障害者の身体合併症である.特にアメリカに始まり日本でも最近みられる訴訟社会では,精神科救急の入り口で身体合併症のある患者を断ることが多い.

 また精神科病院に入院中の患者の身体合併症,特に急変にはなかなかハード・ソフトとも対応が十分でなく,また精神障害者という偏見もあってすぐ受け入れてくれる専門の病院もない.急変でなくても高齢化に伴う身体疾患や,三大死因になる癌を始めとする疾患,生活習慣病(を合併している精神障害者に関しても)などは,なかなか入院治療を受けてくれないところが多い.

--------------------

あとがき フリーアクセス

著者: 高鳥毛敏雄

ページ範囲:P.242 - P.242

 本特集内冒頭にあります尾身先生との対談に入る前に,「公衆衛生と専門性」について大激論となりました.公衆衛生人の社会的使命はすべての人々の健康医療問題を解決をすることにあり,公衆衛生は実学であり,それを顧みずに専門性の議論をするのは不見識であるとの思いを強くもたれておられたからであります.大学人が中心となって公衆衛生の専門性の議論をしていくことにも強い懸念を持たれておられました.尾身先生のお考えは,WHO西太平洋地域事務局で,ポリオの根絶,SARS対策など複雑な政治経済状況の地域における公衆衛生対策の責任者として長年陣頭指揮をとってこられた実践活動の中で獲得されてきたことに基づくものであり,説得力のあるお言葉でした.WHOでの大任を終えられ年初に帰国されていると聞いています.まだWHO在籍中の最後の時期(2008年10月)に対談を組ませていただきました.大激論となりました点については,本特集の企画立案にあたって編集委員の間でも熱の込もった議論となりました.その結果「公衆衛生の人づくり」について前号と今号,2つの号にまたがる特集とさせていただいた次第です.本特集の趣旨が尾身先生のお考えと齟齬があるわけではないことをご理解いただきますようお願いいたします.

 ところで,人々の抱えている問題と真摯に付き合うのが自治体の使命ではないでしょうか.自治体の中で,行政職の下で仕事をする公衆衛生人も多くなってきています.行政職の方もわれわれ公衆衛生人に仲間入りしていただくべき時代となっているように思います.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら