文献詳細
文献概要
特別寄稿
ワーキングプア―解決への遠い道
著者: 板垣淑子1
所属機関: 1NHK報道番組センター
ページ範囲:P.207 - P.210
文献購入ページに移動今年の年越しは,「年越し派遣村」の取材に追われました.12月下旬,「派遣切り」の数が8万人を超えるということが厚生労働省によって発表されました.数多くの失業者が職を求めて東京に殺到することが予想され,派遣村は,そうした人たちの受け皿として用意されたものでした.当初,100人程度が集まるものと予想され,テントや食料が準備されましたが,最終的には500人余りが村民(派遣切りされた後,住居がない人たち)として名簿に登録しました.朝,昼,夜の炊き出しでは,数百メートルの長い列ができていました.その新年の光景を見ていて「これが日本なのだろうか…」と暗澹たる気持ちにさせられました.ワーキングプアだった派遣労働者たちが仕事を失い,寮を追われて住まいを失うと,ホームレスになってしまう以外に道はないのです.ワーキングプアの番組を最初に放送してから3年余り.事態は深刻化し,解決が遠のいているような気がしてなりません.
掲載誌情報