公衆衛生73巻3号

2009年03月発行

連載 ドラマティックな公衆衛生―先達たちの物語・3

「公共」の精神による衛生活動―後藤新平

著者： 神馬征峰¹

所属機関： ¹東京大学大学院医学系研究科・国際地域保健学教室

ページ範囲：P.221 - P.223

…比良目の目を鯛の目にすることはできんよ(文献¹⁾，p476)．

　

生物学的原則に基づく行政

　後藤新平(1857年7月24日～1929年4月13日)は，明治から昭和初期の医師，官僚，政治家である．多くの要職に就いて，多方面で活躍した──台湾総督府民政長官，満鉄初代総裁，逓信大臣，内務大臣，外務大臣，東京市(現・東京都)第7代市長，ボーイスカウト日本連盟初代総長，東京放送局(のちのNHK)初代総裁，拓殖大学第3代学長など．

　山のように肩書きを持ってはいるが，それなしでも個人で通用した政治家，それが後藤新平である(文献²⁾，p58)．

参考文献

1) 鶴見祐輔：〈決定版〉正伝後藤新平③台湾時代．藤原書店，2005

2) 御厨貴編：時代の先覚者・後藤新平．藤原書店，2004

3) 藤原書店編集部：後藤新平の「仕事」．藤原書店，2007

4) 鶴見祐輔：〈決定版〉正伝後藤新平①医者時代．藤原書店，2004

5) 山岡淳一郎：後藤新平・日本の羅針盤となった男．pp52-58，草思社，2007