icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻5号

2009年05月発行

特集 自然毒食中毒

自然毒食中毒の防止と公的責任

著者: 阿彦忠之1 笠原義正1

所属機関: 1山形県衛生研究所

ページ範囲:P.353 - P.356

文献概要

 自然毒による食中毒を防止するための公的施策としては,フグ毒のように調理に関する業務独占資格(条例による免許制度等)を設ける方法,および貝毒のように生産海域におけるモニタリングとその結果に応じた出荷規制を行う方法などがある.

 一方,きのこや山菜等の植物が関連した食中毒の防止については,調理資格やモニタリングによる規制制度がないため,山菜等の採取者あるいは調理者個々人の知識に頼る面が大きい.しかしながら,植物性自然毒(以下,植物毒)による食中毒では,同じ種類の植物による事例が繰り返されており,山菜等採取時の誤認の経緯や採取場所の環境などにも類似点が多い.食文化との関連で,原因植物の種類には地域的な特徴が見られるので,各地域の公衆衛生機関(保健所,地方衛生研究所)が健康危機管理業務の一環として,中毒事例に関する情報を収集・分析し,その結果に基づく予防方法の提案や啓発資料の作成,および人材育成などに取り組むことが重要と考える.

 そこで本稿では,自然毒の中でも植物毒による食中毒に焦点を当て,国内における最近の中毒事例の要因や特徴などを概観したうえで,植物毒食中毒を防止するための公的施策のあり方を提案したい.また,植物毒食中毒の発生件数が最も多い地域の1つである山形県において,衛生研究所が取り組んでいる中毒防止のための情報収集や啓発活動について紹介する.

参考文献

1) 佐藤陽子,瀧優子:植物が関連した食中毒事例報告の特徴.食品衛生学雑誌48(4):308-311,2007
2) 姉帯正樹:北海道における有毒植物による食中毒発生状況.食品衛生学雑誌47(2):178-184,2006
3) 笠原義正・他:ツキヨタケの胃腸管毒性および塩蔵による減毒.食品衛生学雑誌37(1):1-7,1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら