icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻5号

2009年05月発行

文献概要

連載 ドラマティックな公衆衛生―先達たちの物語・5

農民とともに:「愛情こそが最高の技術」―若月俊一

著者: 神馬征峰1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科・国際地域保健学教室

ページ範囲:P.374 - P.377

文献購入ページに移動
…医学は,抽象的な「医学」のお化けのためにあるのではない(文献1),p25)


「医学」のお化け

 若月俊一(1910年6月26日~2006年8月22日)は,長野県佐久市にある佐久総合病院を育て,日本において農村医学を確立した外科医である.と同時に,農村における公衆衛生の改善に尽くした.

 若月が佐久の農村に入ったのは第二次世界大戦敗戦前の昭和20年3月,34歳の時であった.これまでに紹介した先達に比べるとスタートラインが遅い,かのように見える.しかしながら,それに先駆け,工場労働者の健康問題・社会問題に関心を抱き,論文を書いている.おそらくはそれが1つの原因で治安維持法違反として逮捕・投獄という経験もしている.投獄されたのは昭和19年1月から12月まで.岩波新書に若月の評伝を書いた南木佳士2)によれば,その経験が,若月の「目だけが笑っていない」笑顔の原因ではないかと言う.

参考文献

1) 若月俊一:農村医学.勁草書房,1971
2) 南木佳士:信州に上医あり―若月俊一と佐久病院.岩波書店,1994
3) 若月俊一:若月俊一―農村医療にかけた30年.日本図書センター,1997
4) 若月俊一:村で病気とたたかう.岩波書店,1971
5) 若月俊一:若月俊一の遺言:農村医療の原点.家の光協会,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら