文献詳細
連載 ドラマティックな公衆衛生―先達たちの物語・5
文献概要
…医学は,抽象的な「医学」のお化けのためにあるのではない(文献1),p25)
「医学」のお化け
若月俊一(1910年6月26日~2006年8月22日)は,長野県佐久市にある佐久総合病院を育て,日本において農村医学を確立した外科医である.と同時に,農村における公衆衛生の改善に尽くした.
若月が佐久の農村に入ったのは第二次世界大戦敗戦前の昭和20年3月,34歳の時であった.これまでに紹介した先達に比べるとスタートラインが遅い,かのように見える.しかしながら,それに先駆け,工場労働者の健康問題・社会問題に関心を抱き,論文を書いている.おそらくはそれが1つの原因で治安維持法違反として逮捕・投獄という経験もしている.投獄されたのは昭和19年1月から12月まで.岩波新書に若月の評伝を書いた南木佳士2)によれば,その経験が,若月の「目だけが笑っていない」笑顔の原因ではないかと言う.
「医学」のお化け
若月俊一(1910年6月26日~2006年8月22日)は,長野県佐久市にある佐久総合病院を育て,日本において農村医学を確立した外科医である.と同時に,農村における公衆衛生の改善に尽くした.
若月が佐久の農村に入ったのは第二次世界大戦敗戦前の昭和20年3月,34歳の時であった.これまでに紹介した先達に比べるとスタートラインが遅い,かのように見える.しかしながら,それに先駆け,工場労働者の健康問題・社会問題に関心を抱き,論文を書いている.おそらくはそれが1つの原因で治安維持法違反として逮捕・投獄という経験もしている.投獄されたのは昭和19年1月から12月まで.岩波新書に若月の評伝を書いた南木佳士2)によれば,その経験が,若月の「目だけが笑っていない」笑顔の原因ではないかと言う.
参考文献
1) 若月俊一:農村医学.勁草書房,1971
2) 南木佳士:信州に上医あり―若月俊一と佐久病院.岩波書店,1994
3) 若月俊一:若月俊一―農村医療にかけた30年.日本図書センター,1997
4) 若月俊一:村で病気とたたかう.岩波書店,1971
5) 若月俊一:若月俊一の遺言:農村医療の原点.家の光協会,2007
掲載誌情報