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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻6号

2009年06月発行

文献概要

特集 地域精神保健・医療の今日的課題

高次脳機能障害者の実態と自立支援

著者: 中島八十一1

所属機関: 1国立障害者リハビリテーションセンター学院

ページ範囲:P.417 - P.421

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 高次脳機能という用語が持つ正統性と比較すると,高次脳機能障害という用語は高次脳機能が障害された状態であるとする医学的見地からの了解は得られるものの,その位置付けは確かさを欠く.この種の病態について欧米で普通に使われる用語は「認知障害」である.認知障害には感覚認知機能ばかりでなく,行動面での問題まで含むのが普通である.一方で,交通事故による脳損傷に基づく後遺症を持つ当事者や家族が医療・福祉サービスの充実を広く訴え始めた1990年代後半には,その後遺症を示すために「高次脳機能障害」という用語が用いられた.そこで当該後遺症について政策を考える際にもこれを用いた.

 本稿で使用する「高次脳機能障害」という用語は,その延長線上にある行政的診断基準に基づいている.

参考文献

1) 阿部順子:脳外傷の社会生活を支援するリハビリテーション.永井肇(監修),中央法規出版,1999
2) 神奈川リハビリテーション病院「脳外傷リハビリテーションマニュアル編集委員会」代表,大橋正洋:脳外傷リハビリテーションマニュアル.医学書院,2001
3) 中島八十一:高次脳機能障害の現状と診断基準.中島八十一,寺島彰(編):高次脳機能障害ハンドブック―診断から自立支援まで.医学書院,2006
4) 厚生労働省社会・援護局,国立身体障害者リハビリテーションセンター:高次脳機能障害者支援の手引き(改定第2版).国立障害者リハビリテーションセンター,2008
5) 国立身体障害者リハビリテーションセンター:高次脳機能障害支援モデル事業中間報告書.国立身体障害者リハビリテーションセンター,2003
6) 吉本智信:高次脳機能障害と損害賠償.精神医学と賠償シリーズ②,海文堂出版,2004
7) 本田晃:高次脳機能障害の要件と損害評価.民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻(講演録編)2005,pp67-92,東京日弁連交通事故相談センター東京支部,2005
8) 中島八十一:高次脳機能障害支援モデル事業について.高次脳機能研究26(3):263-273,2007
9) 主任研究者/中島八十一:高次脳機能障害者に対する地域支援ネットワークの構築に関する研究―平成18年度総括・分担研究報告書.2006
10) 白山靖彦:支援ネットワークの形成と活用.中島八十一,寺島彰(編):高次脳機能障害ハンドブック―診断から自立支援まで.医学書院,2006
11) 高次脳機能障害支援コーディネート研究会:高次脳機能障害支援コーディネートマニュアル.中央法規出版,2006
12) 高次脳機能障害者に対する地域支援ネットワークの構築に関する研究.平成20年度総括・分担研究報告書,分担研究者/蜂須賀研二,2009
13) また,下記のホームページアドレスから高次脳機能障害支援普及事業についての情報を見ることができる.  http://www.rehab.go.jp/ri/brain/index.shtml

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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