icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻6号

2009年06月発行

文献概要

特集 地域精神保健・医療の今日的課題

若年認知症患者の地域ケアにおける現状と課題

著者: 宮永和夫1

所属機関: 1南魚沼市立ゆきぐに大和病院

ページ範囲:P.422 - P.428

文献購入ページに移動
認知症患者の人数の現状と今後1)

 Ferri CPら2)によると,発展途上国の認知症疫学調査と先進国の今までの報告,そして今後の世界の人口高齢化率の推計に基づいて概算した結果,60歳以上の認知症者は,2001年度には2,430万人だったが,2020年には約2倍の4,230万人に,2040年には3倍強の8,110万人になるという.特に,2040年には開発途上国の認知症者は全体の71.2%を占め,特に中国,インド,南アメリカの割合が著明であるという.

 一方,日本では,厚生労働省による認知症者の推計値が公表されている.1999年度の推計値と2002年の推計値では将来推計数が異なり,より近未来の2025年に1999年に推計された数値を超える(表1).これは,国の予測以上に認知症者の人数が増加していることを意味する.ただ,これらの推計値は介護保険に申請された要介護認定者(第1号被保険者)で自立度Ⅱ以上の高齢者の推計値(2002年発行)から計算されたものであり,介護保険未申請者や自立度Ⅰの認知症患者は含まれないため,実際はもっと認知症患者は多くなると言える.

参考文献

1) 宮永和夫:認知症は増えているか.からだの科学,日本評論社,2006
2) Ferri CP, Prince M, Brayne C, Brodaty H, et al:Global prevalence of dementia;a Delphi consensus study. Lancet 366:2112-2117, 2005
3) 宮永和夫:厚生労働省長寿科学総合研究事業「若年認知症の実態に関する研究報告書」―平成18~19年度,群馬県内調査,2008
4) 宮永和夫:老年期における社会的要因の臨床症状への影響.精神科治療学18(5):543-549,2003
5) 宮永和夫:若年認知症の在宅支援.新医療371:30-33,2005
6) 宮永和夫:若年認知症の臨床.新興出版,2007
7) 宮永和夫:認知症と就労.訪問看護と介護14(3):206-212,2009
8) Wood RL, Fussey I:Cognitive Rehabilitation in Perspective. Taylor & Francis, UK, 1990[邦訳/清水一ら(訳):認知障害のリハビリテーション.pp238-265,医歯薬出版,1998]
9) 若年認知症家族会(編):若年認知症―本人・家族が紡ぐ7つの物語.中央法規出版,2006
10) 宮永和夫:患者家族の心理的サポートを行う―特に外来および若年認知症の家族会などにおいて.Cognition and Dementia 5(2):118-122,2006
11) 今井幸充:認知症ケアの標準化とスキルアップをめざして.ぐんま認知症アカデミー第2回秋の研究発表会特別講演より(2007年12月)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら