文献詳細
特集 地域精神保健・医療の今日的課題
文献概要
認知症患者の人数の現状と今後1)
Ferri CPら2)によると,発展途上国の認知症疫学調査と先進国の今までの報告,そして今後の世界の人口高齢化率の推計に基づいて概算した結果,60歳以上の認知症者は,2001年度には2,430万人だったが,2020年には約2倍の4,230万人に,2040年には3倍強の8,110万人になるという.特に,2040年には開発途上国の認知症者は全体の71.2%を占め,特に中国,インド,南アメリカの割合が著明であるという.
一方,日本では,厚生労働省による認知症者の推計値が公表されている.1999年度の推計値と2002年の推計値では将来推計数が異なり,より近未来の2025年に1999年に推計された数値を超える(表1).これは,国の予測以上に認知症者の人数が増加していることを意味する.ただ,これらの推計値は介護保険に申請された要介護認定者(第1号被保険者)で自立度Ⅱ以上の高齢者の推計値(2002年発行)から計算されたものであり,介護保険未申請者や自立度Ⅰの認知症患者は含まれないため,実際はもっと認知症患者は多くなると言える.
Ferri CPら2)によると,発展途上国の認知症疫学調査と先進国の今までの報告,そして今後の世界の人口高齢化率の推計に基づいて概算した結果,60歳以上の認知症者は,2001年度には2,430万人だったが,2020年には約2倍の4,230万人に,2040年には3倍強の8,110万人になるという.特に,2040年には開発途上国の認知症者は全体の71.2%を占め,特に中国,インド,南アメリカの割合が著明であるという.
一方,日本では,厚生労働省による認知症者の推計値が公表されている.1999年度の推計値と2002年の推計値では将来推計数が異なり,より近未来の2025年に1999年に推計された数値を超える(表1).これは,国の予測以上に認知症者の人数が増加していることを意味する.ただ,これらの推計値は介護保険に申請された要介護認定者(第1号被保険者)で自立度Ⅱ以上の高齢者の推計値(2002年発行)から計算されたものであり,介護保険未申請者や自立度Ⅰの認知症患者は含まれないため,実際はもっと認知症患者は多くなると言える.
参考文献
1) 宮永和夫:認知症は増えているか.からだの科学,日本評論社,2006
2) Ferri CP, Prince M, Brayne C, Brodaty H, et al:Global prevalence of dementia;a Delphi consensus study. Lancet 366:2112-2117, 2005
3) 宮永和夫:厚生労働省長寿科学総合研究事業「若年認知症の実態に関する研究報告書」―平成18~19年度,群馬県内調査,2008
4) 宮永和夫:老年期における社会的要因の臨床症状への影響.精神科治療学18(5):543-549,2003
5) 宮永和夫:若年認知症の在宅支援.新医療371:30-33,2005
6) 宮永和夫:若年認知症の臨床.新興出版,2007
7) 宮永和夫:認知症と就労.訪問看護と介護14(3):206-212,2009
8) Wood RL, Fussey I:Cognitive Rehabilitation in Perspective. Taylor & Francis, UK, 1990[邦訳/清水一ら(訳):認知障害のリハビリテーション.pp238-265,医歯薬出版,1998]
9) 若年認知症家族会(編):若年認知症―本人・家族が紡ぐ7つの物語.中央法規出版,2006
10) 宮永和夫:患者家族の心理的サポートを行う―特に外来および若年認知症の家族会などにおいて.Cognition and Dementia 5(2):118-122,2006
11) 今井幸充:認知症ケアの標準化とスキルアップをめざして.ぐんま認知症アカデミー第2回秋の研究発表会特別講演より(2007年12月)
掲載誌情報