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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻6号

2009年06月発行

文献概要

連載 働く人と健康―精神科臨床医の立場から・6

職場におけるメンタルヘルス対策

著者: 天笠崇123

所属機関: 1代々木病院 2メンタルクリニックみさと 3京都大学医学部大学院社会健康医学系専攻健康情報学

ページ範囲:P.448 - P.452

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はじめに

 筆者は医学生時代,罹患率を減らす取り組みを一次予防,有病率を減らす取り組みを二次予防,再発率や後遺障害を減らす取り組みを三次予防と言う,と習った.疾病や障害をターゲットにするのでなく,健康を増進する取り組みを「ゼロ次予防」と呼ぶことがある.予防レベルの視点から,本連載を整理すれば次のようになろうか.賃金制度を見直すことで労働ストレス要因を改善しうつ状態やうつ病を予防し得ることが示唆されたこと1),ワーキングプアの解消によってうつ病を予防し得ることが示唆されたことについて2)述べたが,これらは一部ゼロ次を横目で睨みながら主に一次予防対策の視点,労働ストレス要因の1つであるハラスメントとうつ病や自殺3),労働関連自殺の予防と遺家族の救済4)について述べた回は一次予防対策の視点,リワークの成功要因について述べた回5)は三次予防対策の視点から述べた,とでもまとめられる.職域におけるメンタルヘルス対策を展開する際,これらゼロから三次予防を視野に入れた包括的な取り組みが求められる.

 本稿では,職場におけるメンタルヘルス対策の現状ならびに焦眉の課題である一次予防対策を中心に述べる.同時に,本連載で取り上げることの少なかった二次予防対策の手がかりについても少しだけ触れる.

参考文献

1) 天笠崇:「働く人と健康」第1回 成果主義とメンタルヘルス.公衆衛生73:51-55,2009
2) 天笠崇:「働く人と健康」第3回 ワーキングプアとメンタルヘルス.公衆衛生73:211-215,2009
3) 天笠崇:「働く人と健康」第2回 パワハラとメンタルヘルスの現状.公衆衛生73:129-132,2009
4) 天笠崇:「働く人と健康」第5回 診療現場から見た労働関連自殺(いわゆる過労自殺).公衆衛生73:358-361,2009
5) 天笠崇:「働く人と健康」第4回 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰をめぐって.公衆衛生73:290-293,2009
6) 厚生労働省:平成19年労働者健康状況調査結果の概況.http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/anzen/kenkou07/index.html
7) 厚生労働省:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きについて.2004年10月,http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/10/h1014-1.html(2009年3月に改訂http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei28/index.html)
8) Semmer NK:State-of-Science Review;SR-C6 Stress Management and Wellbeing Interventions in the Workplace. The Government Office for Science, UK, 2009 Available from http://www.foresight.gov.uk
9) 天笠崇:①長時間過重労働・成果主義とメンタルヘルス.日本産業衛生学会創立80周年記念講演集.pp197-202,財団法人労働科学研究所出版部,2009
10) Scott J, Eccleston D, Boys R:Can we predict the persistence of depression? Br J Psychiatry 161:633-637, 1992
11) Gormley N, O'Leary D, Costello F:First admission for depression;is the ‘no-treatment interval' a critical predictor of time to remission? Journal of Affect Disorders 54:49-54, 1999
12) 教職員の労働安全衛生研究会(著):学校にローアンの風を―すぐに使える労働安全衛生法.きょういくネット,2007
13) 東京社会医学研究センターhttp://www.shaiken.or.jp/
14) 最も近いワークショップ情報http://www.pac.ne.jp/sst15/pro.html
15) http://www.healthim.umin.jp/about02/a.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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