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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻7号

2009年07月発行

文献概要

特集 自治体中心の新たな健康政策―Health Impact Assessmentの導入

健康影響アセスメントがなぜ登場してきたのか―環境アセスメントの立場から

著者: 原科幸彦1

所属機関: 1東京工業大学大学院総合理工学研究科環境理工学創造専攻

ページ範囲:P.493 - P.496

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意思決定過程の透明化

 日本の環境アセスメント(以下,「アセス」)は,経済先進国の中では残念ながら遅れている.環境影響評価法は1997年に制定されたが,これは当時のOECD加盟国,29か国中で29番目の法制化であった.経済大国の日本だが,環境政策は遅れていると世界は見ている.しかしその後,21世紀に入り,国際協力の分野では,国際協力銀行(JBIC)や国際協力機構(JICA)などが,かなり水準の高い環境社会配慮システムを導入したため,わが国のアセスに対する見方は次第に変わってきたようである.

 例えば2007年に,筆者はアセス分野の中心的な国際学会であるIAIAにおいて,日本人としては初めての会長に選出された.IAIAの30年近くの歴史でようやくのことである.IAIAとは,International Association for Impact Assessmentの略で,国際影響評価学会と訳しているが,国際アセスメント学会としたほうがわかりやすいかもしれない.これは,環境アセスメントだけでなく,影響評価(IA)全般に関する幅広い学会で,1980年にアメリカで設立され,今では120以上の国と地域からの会員がおり,国連でも特別に認定された学術団体である.健康影響アセスメント(HIA)も重要なテーマの1つとなっている.

参考文献

1) 原科幸彦:改訂版・環境アセスメント.放送大学教育振興会,2000
. Prentice Hall, 2003
. Oxford University Press, 2004[藤野善久・松田晋哉(監訳):健康影響評価.社会保険研究所,2008]
4) EU, Delegation of the EC to Japan:Descriptive Summary Texts of the Treaties.http://www.deljpn.ec.europa.eu/union/showpage_en_union.history.1.summary.php
25(7-8):693-701, 2005
. John Wiley, Chichester, 1995
28(4-5):349-358, 2008
8) 原科幸彦(編):環境計画・政策研究の展開.岩波書店,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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