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特集 超少子化と向き合う
少子化とどう向き合うか?―少子化対策の目的と方向性
著者: 林謙治1
所属機関: 1国立保健医療科学院
ページ範囲:P.564 - P.567
文献購入ページに移動20世紀は人口爆発の時代,21世紀は高齢化の時代と言われている.人口爆発は多産多死から多産少死に移行する過程で出現し,近年では多産少死からさらに少産少死の段階を経て,多くの先進国では死亡率が逆に出生率を上回っている.その結果近い将来に人口が減少に転じることが予測されている.前者の人口現象を第1の人口転換,後者は第2の人口転換と言われている.第1の人口転換,特に出生力転換は,西欧では1930年代に終わり,日本においては1950年代に終わっている.今日に直接つながる日本の少子高齢化は,1970年代より継続している緩やかな出生率の低下の帰結である.
戦後,経済復興をなしとげた国々の過去半世紀は,人類史上もっとも物質的豊かさを享受した時代であったと言えよう.従来,親世代の老後保障の担保と言われてきた子どもは,現代では逆に経済的負担と意識される中で,物質的にさらに豊かになろうとすれば,結局は経済的余裕ができるまで,晩婚・少子の選択をせざるをえない.
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