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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻8号

2009年08月発行

文献概要

特集 超少子化と向き合う

少子化対策は何を優先すべきか?―保育サービス充実,労働時間短縮,および男性の育児参加支援

著者: 坂爪聡子1

所属機関: 1京都女子大学現代社会学部

ページ範囲:P.577 - P.580

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 近年,少子化対策が矢継ぎ早に打ち出されている.1994年の「エンゼルプラン」は保育サービスの充実を重視したものであったが,1999年の「新エンゼルプラン」では,仕事と育児の両立支援の観点から保育サービスの充実に加え,雇用環境の整備等も盛り込まれた.さらに,2002年の「少子化対策プラスワン」では,男性の働き方の見直しや育児休業制度の取得促進が挙げられ,男性も含めた両立支援策が示された.現在,両立支援を中心に,子育て家庭すべてを支援するという観点から,多様な対策が講じられている.しかし,出生率の低下傾向に歯止めはかからない.状況に適していない対策も少なくないのではないか? 両立支援の充実度は地域や企業により異なり,個人を取り巻く状況は多様化している.その如何によって対策の効果は異なるはずである.今必要なことは,状況をパターン化して見極め,それに応じた対策を的確に講じていくことではないか?

 本稿では,保育サービスの充実と労働時間の短縮,男性の育児参加支援の3対策に注目し,その効果を理論的に分析する.その上で,対策間の関係性を踏まえ,効果的な対策を明らかにする.

参考文献

1) 坂爪聡子:少子化対策として効果的なのは保育サービスの充実か労働時間の短縮か? 季刊社会保障研究44(1):110-120,2008
2) 坂爪聡子:男性の育児参加は少子化対策として有効なのか? 人口学研究41:9-21,2007
3) 滋野由紀子・大日康史:育児支援策の結婚・出産・就業に与える影響.岩本康志(編):社会福祉と家族の経済学,pp17-50,東洋経済新報社,2001
4) 今田幸子・池田心豪:仕事と育児の両立支援―企業・家庭・地域の連携を.労働政策研究報告書50,労働政策研究・研修機構,2006
5) 厚生労働省:男女間の賃金格差の解消に向けて―男女間の賃金格差問題に関する研究会報告,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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