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特集 超少子化と向き合う
産科・周産期医療の現状と今後の展望
著者: 海野信也1
所属機関: 1北里大学医学部産婦人科学
ページ範囲:P.587 - P.595
文献購入ページに移動今後,妊娠可能年齢(15~49歳)の女性人口が2010年の2,720万人から10年間で2,440万人に10%減少する.出産する女性の95%以上を占める20~39歳の女性人口は,2010年の1,090万人から2020年には900万人(18%減),2025年には860万人(22%減)へと減少する(各年次の出生数からの単純推計).出生数がさらに減少することは確実である.少子化は社会にとって,個人・家族にとって,出生する児の希少性=貴重性を高めることとなり,求められる産科・周産期医療水準もさらに高まると考えられる.その一方で分娩の絶対数の減少は,分娩施設の減少につながり,地域における分娩施設へのアクセスを困難にし,利便性が損なわれる結果となる可能性が高い.産科・周産期医療提供体制において利便性と医療水準の両者を確保するためには,高コスト化は避け難いと考えられる.
本稿では,戦後のわが国の分娩の実情について,歴史的観点から概観し,その特徴と問題点を示した上で,今後のあり方について考えられる選択肢を提示する.
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