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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻8号

2009年08月発行

連載 ドラマティックな公衆衛生―先達たちの物語・8

失敗から改革へ:共感をもって着実に―フローレンス・ナイティンゲール

著者: 神馬征峰1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科・国際地域保健学教室

ページ範囲:P.607 - P.610

文献概要

…あなた方の間違いは神の計画の一部なのです(文献1),p26)

 

白衣の天使・ナイティンゲール

 フローレンス・ナイティンゲール(1820年5月12日~1910年8月13日)は,イタリアのフィレンツェ生まれのイギリス人看護師.近代看護教育の生みの親.統計学や公衆衛生分野でも先駆的な業績を残した.

 看護師が「白衣の天使」と呼ばれるようになったのは,ナイティンゲールに由来する.クリミア戦争の最中,病棟の夜回りを欠かさなかったことから「ランプの貴婦人」とも呼ばれたナイティンゲール.確かに天使のような人であったのかもしれない.当時,文豪でもあったギャスケル夫人が書いた手紙によれば,「フローレンス・ナイティンゲールは背の高い,姿勢のよい,ほっそりした人です.短か目の,たっぷりした栗色の髪,透きとおるような肌,灰色の瞳.その瞳は思い深げに伏し目がちです.しかしその目が快活に輝くとき,彼女のように楽しげな面持を私は見たことがありません…黒い絹の服の高い衿が細い白い喉もとを覆い,黒いショールを肩に掛けているその様子.たぶんあなたも彼女のたぐい稀な優雅さ,美しさが想像できるでしょう.それは聖女を思わせる姿です」(文献2),p61).

参考文献

1) ヒュー・スモール,田中京子(訳),川島みどり(解説):ナイチンゲール 神話と真実.みすず書房,2003
2) エドワード・クック,中村妙子(訳):ナイティンゲール―その生涯と思想Ⅰ.時空出版,1993
3) Williams K:Reappraising Florence Nightingale. BMJ 337:1461-1463, 2008
4) エドワード・クック,中村妙子(訳):ナイティンゲール―その生涯と思想Ⅲ.時空出版,1994
5) 湯槇ます(監修),薄井坦子,小玉香津子,田村真,小南吉彦(編訳):ナイチンゲール著作集 第2巻.現代社,1974

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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