icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生73巻9号

2009年09月発行

特集 弱者への暴力

介護サービスを利用する側から介護労働者への暴力

著者: 篠﨑良勝1

所属機関: 1八戸大学人間健康学部

ページ範囲:P.669 - P.673

文献概要

利用者側からの暴力や性的嫌がらせの実態

 介護保険制度が施行される前から,介護労働者が利用者やその家族から身体的・精神的暴力や性的嫌がらせなど,様々なハラスメントを受けている実態は存在していた.しかし,その実態調査はまったく行われていなかった.それは,一般の人だけではなく,社会福祉領域の研究者でさえ「介護は福祉であり,福祉サービスを受ける相手は社会的弱者である」という固定観念に縛られていたためである.たとえ介護労働者が利用者側からハラスメントを受けたとしても,利用者側に対する同情心や諦めという気持ちが優先し,公表をすることを躊躇していた.しかし,介護保険制度が施行されると,それまで以上に利用者側の意識が変わり,看過できない状況が出てきた.

 介護労働者が身体的・精神的暴力や性的嫌がらせを職務中に受けた経験を2002年と2007年で比較すると(図1),特別養護老人ホームなどの施設で介護に従事する施設介護職員では,経験ありの介護労働者は4.5ポイント増であるが,利用者の自宅などに訪問して介護サービスを提供する訪問介護員では,経験ありの割合が14.4ポイント増となっている.

参考文献

1) 篠崎良勝:介護職員が利用者から受けるケア・ハラスメントのストレス度―4種類のケア・ハラスメントの特徴とその背景.八戸大学紀要33:21-35, 2006
2) 篠崎良勝:介護労働学入門―ケア・ハラスメントの実態.一橋出版,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら