icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生74巻1号

2010年01月発行

文献概要

特集 感染症再見 死亡者数最大の感染症:肺炎

①肺炎死亡の現状と動向

著者: 大日康史1 菅原民枝1

所属機関: 1国立感染症研究所感染症情報センター

ページ範囲:P.6 - P.11

文献購入ページに移動
 1899年からの人口動態統計(図1)による肺炎の死亡率を見てみると,1918年から3年間のところでの急増を除いて,結核に次いで高い水準であったが,1947年には前年度に比して半数になり,その後1972年まで低下していった.しかしながら,翌1973年より増加に転じており,2008年は91.6(対人口10万人)であった.死亡順位では1951年から脳血管疾患が,1981年から現在まで悪性新生物が1位となっているものの,1976年より肺炎は順位を上げ,現在まで4位となっているが,近い将来には3位に浮上する勢いである.なお,1918年からの急増の理由は,2009年の新型インフルエンザ発生に伴い,お気づきの方も多いと思われるが,いわゆる「スペインかぜ」である.性別では,男性にやや高い傾向がある(男:女=99.9:83.7,対人口10万人).年齢群別では70歳以上の高齢者が99.5%以上である.

 平成20年度の統計では誤嚥性や,化学物質等を起因とするものを除くと130,234名の死亡の内,病原体が臨床的あるいは検査室診断されているのは3,572名に過ぎない.病原体別では結核が1,806名と約半分を占め,ブドウ球菌(1,078名),肺炎球菌(180名),インフルエンザ(159名),緑膿菌(125名)と続く.この内ウイルス性は203名で95%が細菌性である.ウイルス性肺炎の3/4はインフルエンザであるが,分離されているのはその2/3である.

参考文献

1) 大日康史:健康経済学.東洋経済新聞社,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら