文献詳細
特集 感染症再見
国内発生している致死率の高い感染症
文献概要
ビブリオ・バルニフィカス感染症は,夏に見られる劇症型軟部組織感染症で,肝硬変や糖尿病・免疫不全の患者らに日和見感染する.生の魚介類の経口摂取や汽水中で創部から感染し,敗血症性ショックや壊死性筋膜炎などを発症し,70%が死亡するきわめて予後不良な疾患である.経口感染型は特に死亡率が高い.本邦では1978年以来200例以上報告されているが,海外と比べ,刺身などの食習慣から経口感染型が多い.発症後の経過は急激で,死亡例の半数以上が3日未満に亡くなっているため,診断を急ぎ,治療内容が予後を左右する1).
本邦では食品衛生法以外での届け出義務がないため,正確な発生状況は把握されていない.最も必要なことは発症の予防であり,ハイリスク者およびその家族に対し,夏季の魚介類生食や海水浴を避けるよう徹底して啓発することである.
本邦では食品衛生法以外での届け出義務がないため,正確な発生状況は把握されていない.最も必要なことは発症の予防であり,ハイリスク者およびその家族に対し,夏季の魚介類生食や海水浴を避けるよう徹底して啓発することである.
参考文献
感染症―診断と治療のフローチャートの試み.日皮会誌109:875-884,1999
感染症の現状.MB Derma 114:7-12, 2006
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感染症の診断と治療.皮膚臨床41:977-984,1999
5) 山本茂貴:ビブリオ・バルニフィカスによる重篤な経口感染症に関する研究.平成15年度厚生労働省科学研究補助金―新興再興感染症研究事業総括・分担報告書,2004
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in artificially contaminated oysters. Appl Environ Microbiol 57:707-711, 1991
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;The role of operative intervention. Journal of the American College of Surgeons 183:329-334, 1996
10) 小玉正智・他:重症敗血症に対する流血中エンドトキシン除去治療―ポリミキシン固定化カラムによる血液潅流療法.日外会誌96:277-285,1995
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