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連載 地域保健従事者のための精神保健の基礎知識・10
精神保健の疫学研究の現状と課題
著者: 長沼洋一1 立森久照1 竹島正1
所属機関: 1(独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部
ページ範囲:P.870 - P.873
文献購入ページに移動精神障害者や精神保健上の課題を抱えながら生活している人が,どれくらいいるのであろうか.どのような人々が発症しやすいのだろうか,また精神障害に対してどのような治療を受け,どのような転帰に達しているのであろうか.それらを明らかにする研究上の手法が,疫学研究である.疫学研究とは,病気や障害等の発生頻度や性や年代等に関する分布を調査し,その病気や疾病の予防に役立つ要因を明らかにすることを目的とするものである.文部科学省と厚生労働省が出している疫学研究に関する倫理指針(平成20年度改訂版)1)では,疫学研究について「疾病のり患を始め健康に関する事象の頻度や分布を調査し,その要因を明らかにする科学研究である.疾病の成因を探り,疾病の予防法や治療法の有効性を検証し,又は環境や生活習慣と健康とのかかわりを明らかにするために,疫学研究は欠くことができず,医学の発展や国民の健康の保持増進に多大な役割を果たしている」と説明されている.
精神障害については,その実態およびリスク要因についてもまだまだ十分に明らかにされているとは言えず,幅広い視点で疫学研究を推進していくことは重要な課題である.
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