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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生74巻11号

2010年11月発行

文献概要

特集 再考:HIV/AIDS予防対策

MSMにおけるHIV感染者/AIDS患者の現状と予防戦略

著者: 市川誠一1

所属機関: 1名古屋市立大学看護学部地域保健看護学感染疫学

ページ範囲:P.906 - P.909

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男性同性間の性的接触による

HIV感染者/AIDS患者の動向

 厚生労働省エイズ発生動向年報によれば,1985年に最初に報告されたAIDS患者6件は,全例が男性同性間の性的接触による感染(日本国籍5例,外国国籍1例)であった1).男性同性間の性的接触による未発症HIV感染者(以下,HIV感染者),AIDS患者の報告数は,その後も徐々に増加し,2009年にはHIV感染者1,021件の内694件(68.0%),AIDS患者431件の内210件(48.7%)を占める状況となった.また,2009年の報告では,HIV感染者の91.3%,AIDS患者の87.7%と日本国籍が大半を占め,日本国籍HIV感染例の70.7%,同AIDS患者例の51.1%を男性同性間感染が占めている.2000~2009年の10年間の動向を見ると,日本国籍の異性間感染は,HIV感染例では127~189件の範囲で増減を繰り返し,AIDS患者例では104~131件の範囲で横ばいの推移である.一方,男性同性間のHIV感染は2000年の203件から2009年には659件と3.3倍に増加し,AIDS患者でも2000年66件から2009年の205件と3.1倍になっている(図).

参考文献

1) 厚生労働省エイズ動向委員会:平成21年エイズ発生動向年報,平成22年5月27日
2) 塩野徳史,他:日本成人男性におけるMSM人口の推定とHIV/AIDSに関する意識調査.平成21年度厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業,「男性同性間のHIV感染対策とその介入効果に関する研究」総括・分担研究報告書,pp119-138,平成22年3月
3) 市川誠一,他:男性同性間のHIV感染予防対策とその推進に関する研究.平成16年度厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業.平成14~16年度総合研究報告書,pp1-20,平成17年3月
4) 市川誠一,他:男性同性間のHIV感染対策とその評価に関する研究.平成19年度厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業,平成17~19年度総合研究報告書,pp1-32,平成20年3月
5) 木村博和,他:大阪の予防啓発の評価に関する研究―2008年大阪クラブ調査報告.平成20年度厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業,「男性同性間のHIV感染対策とその介入効果に関する研究」総括・分担研究報告書,pp109-119,平成21年3月
6) 塩野徳史,他:大阪地域の予防介入プログラムの評価とHIV感染予防行動の関連要因に関する研究.平成21年度厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業,「男性同性間のHIV感染対策とその介入効果に関する研究」総括・分担研究報告書,pp195-243,平成22年3月

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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