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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生74巻12号

2010年12月発行

文献概要

特集 救急医療を救う

救急医療の充実に向けた病院前救護と救急搬送のあり方

著者: 守谷俊1 丹正勝久1

所属機関: 1日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野

ページ範囲:P.987 - P.990

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救急救命士制度の設定から病院前救護の発展

 傷病者を救急病院まで搬送する間のプレホスピタルケアの重要性が認識されはじめ,1991年に制定された救急救命士法1)により救急救命士が誕生した.救急救命士には,3~4%程度であった院外心停止例の社会復帰率の改善が期待された.制度発足から約10年後の成績は,心停止後の生存退院において1,169例中35例の3%に過ぎず,救急救命士による救命処置での社会復帰率改善は実現しなかった2)

 そうした背景から,2000年以降は,プレホスピタルの様々な応急処置が追加された(表).救急自動車のみならず,消防自動車も運用する消防ポンプ隊と救急隊の連携により,救急自動車より早く現場に到着可能な場合や,119番通報時に緊急度が非常に高いと判断された場合,救急出動するものである.

参考文献

1) 厚生労働省:救急救命士法.平成3年法律第36号第2条2項
2) 谷川功一:救急救命士による電気的除細動の効果と今後の課題.日本医師会雑誌124:257-263, 2000
3) 守谷 俊,他:救命救急活動の現状.IATSS Review 34(3):6-15, 2009
4) Cowley RA, et al:An economical and proved helicopter program for transporting the emergency critically ill and injured patients in Maryland. J Trauma 13:1029-1038, 1973
5) 東京消防庁:救急相談センター#7119, 2007(http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/kyuu-adv/soudan-center.htm)
6) 守谷 俊,他:ER型救急外来新設にあたっての試みと今後の課題.日救急医会関東誌27:34-35, 2006
7) 東京都福祉保健局:救急医療の東京ルール,2009(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kyuukyuu/tokyorule/index.html)
8) 守谷 俊,他:都市型三次救命救急センターにおける入院実績の変化―北米型ER診療とのかかわりから.日本救命医療学会雑誌24:33-37, 2010
9) 東京都福祉保健局:東京都母体救命搬送システムの創設について(母体救命対応総合周産期母子医療センター),2009(http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2009/03/20j3j300.htm)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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