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特集 救急医療を救う
地域医療を守りたい~住民としてできること―県立柏原病院の小児科を守る会の取り組み
著者: 丹生裕子1
所属機関: 1(兵庫)県立柏原病院の小児科を守る会
ページ範囲:P.996 - P.999
文献購入ページに移動地元新聞に小児科休止の危機と,それに伴う産科の分娩予約制限が報じられたのは2007年4月のことだった.2人しかいない県立柏原病院小児科の先生のうち1人が,県の人事で院長に就任.現場に残されたもう1人の先生が「これ以上の負担に耐えられない」と退職の意向を示されたというのだ.
後日,その記事を書いた記者の呼び掛けで開かれた座談会では,母親たちの不満めいた意見が続出.そのような中,1人の母親が子どもの入院体験談を語り始めた.「うちの子の病気のこと考えたら,柏原病院の小児科がなくなるんはほんまに困るんや….でも先生のあんな姿見とったら,『辞めんといて』とは,よう言わん…」.最後は涙声になっていた.子どもが幸い健康で,柏原病院にかかったこともないような他の参加者にとって,この言葉は衝撃的だった.お医者さんの過酷な勤務実態,またその一因に,患者の無理解による「コンビニ受診」があるのだということを知った母親たちは,「県立柏原病院の小児科を守る会」を結成,小児科医増員を求める署名活動を開始し,勤務医の過酷な勤務実態を伝えるとともに,医師が働きやすい地域づくりに努めるよう,住民に呼び掛けた.
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