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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生74巻12号

2010年12月発行

特集 救急医療を救う

DMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)の体制整備とその波及効果

著者: 大友康裕1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科救急災害医学分野

ページ範囲:P.1010 - P.1013

文献概要

DMATの現状

 DMATとは「大規模事故災害,広域地震災害などの際に,災害現場・被災地域内で迅速に救命治療を行えるための専門的な訓練を受けた,機動性を有する災害派遣医療チーム」である.1チーム5名で医師を中心に看護師や調整員(事務員)などの医療従事者から編成される.厚生労働省は全国1,000チーム(常時200チーム出動可能体制を目標)を養成する計画である.独立行政法人国立病院機構災害医療センターおよび兵庫県災害医療センターは,厚生労働省より委託を受け,「日本DMAT隊員養成研修会」を実施している.平成22年9月時点で,404施設,758チーム(4,717名)の研修が修了している(表1).想定される主な任務は,近隣大規模事故災害対応として災害現場でのトリアージ・治療・閉鎖空間の医療など,地震などの広域災害発生時には被災地内医療機関の支援,患者後方搬送,広域医療搬送などである.政府は,東海地震,東南海・南海地震または首都直下地震が発生した場合,自衛隊航空機を使用した全国規模の患者搬送(広域医療搬送)を計画している.DMATは,この広域医療搬送計画においても,活躍することが期待されている.既に図1のごとく,多くの実災害に出動し,大きな救命・予後改善効果を上げた実績がある.

 平成17年7月の中央防災会議で防災基本計画が修正され,広域災害における救急・医療体制の整備およびDMATの充実・活用推進が謳われた.現在DMATの地方自治体における災害時の運用について,地方防災計画に反映されつつある.平成18年4月,厚生労働省は「日本DMAT活動指針」を発表し,地方防災計画にDMATの運用を盛り込む際の指針を示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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