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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生74巻4号

2010年04月発行

文献概要

特集 環境リスク

ナノテクノロジーと環境リスク

著者: 西村哲治1

所属機関: 1国立医薬品食品衛生化学部

ページ範囲:P.305 - P.308

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はじめに

 20世紀後半のマイクロテクノロジーの世界から,21世紀はナノ(1nm:1mの10億分の1)テクノロジーの世界になると言われ,ナノメートルサイズのスケールで現象を理解し,物質の構造や配列を制御し,ナノメートルサイズの物質を取り扱うことにより,新しい性質や機能を利用した技術革新が期待されている.ナノサイズの物質(ナノ物質)はナノテクノロジーの重要な役割を担う新規物質・材料と考えられる.このナノサイズの物質を材料(ナノ材料)として取り扱おうとしている分野は多岐にわたっており,すでにわれわれの身の回りの一般家庭用品や食品にも使用されてきている.今後その適用範囲は拡大していくものと思われる.これらの製品を使用することで,われわれがナノ材料に直接接する機会が増加すると共に,使用後の廃棄物から環境中への放出が予想され,環境リスク評価への関心が高まっている.

 本稿では,工業用に生産,使用されるナノ材料に焦点を当てて,環境リスクについて概説する.なお,ジーゼル排ガス中に含まれるナノサイズの微粒子など,非意図的に生成されるナノ粒子に関しても重要な課題はあるが,ここでは割愛させていただく.

参考文献

1) 久保田領志,他:高速液体クロマトグラフィー―タンデム質量分析法による生物試料中フラーレンの分析法の開発.国立医薬品食品衛生研究所報告127:65-68,2009
biological behavior of a water-miscible fullerene;14C labeling, absorption, distribution, excretion and acute toxicity, et al. Chem Biol 2(6):385-389, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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