公衆衛生74巻4号

2010年04月発行

連載 トラウマからの回復―患者の声が聞こえますか？・1【新連載】

語りが与える患者の居場所

著者： 池田純一¹

所属機関： ¹NPO法人JUST(日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン)

ページ範囲：P.335 - P.339

　JUST(日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン)に来る人．それは現在生きづらさや悩みを抱えており，それが過去のトラウマによるものだと気づくことができた人達です．今号からスタートする連載は，いわゆる「患者」と呼ばれる人(JUSTでは「仲間」と呼びます)が，各号1人ずつ登場し，自分の人生について感じたこと，考えたことをありのままに表現します．

　読者の皆さんに，私たちの語りはどのように聞こえますか？　病気とは，悩みとは，回復とは，援助とは，何でしょうか？　連載の中で少しでも共鳴できる部分があるとするならば，皆さんと私たちは，実はそれほどかけ離れた世界を生きているわけではないのかもしれません．

　本連載を機に，皆さんが「患者とは何か」，「援助とは何か」について，共に悩み，考えてくださることを期待しています．