文献詳細
文献概要
連載 リレー連載・列島ランナー・13
現場に活かせる過重労働対策をめざして
著者: 川波祥子1
所属機関: 1産業医科大学産業生態科学研究所産業保健管理学研究室
ページ範囲:P.340 - P.343
文献購入ページに移動はじめに
私が現在勤務している研究所は,北九州市にある産業医科大学のキャンパスの一番北に位置します.大学正門から見ると敷地の一番奥まった場所になりますので,初めて訪ねてこられた方は「こんな所にあるのですね」とやや驚いたようにおっしゃることもあります.このように書きますと,一見,第一線の労働現場からは,遠い場所でこもって研究をしているというイメージを持たれるかもしれませんが,実際には実に多くの学内外の方々が研究所には出入りしています.例えば,卒業生で専属産業医となられた先生方.一緒に研究に参加して頂いたり,研究を行う対象事業場としてご協力を頂いたりすることもありますし,社会人大学院生として研究をしに来られる先生もおられます.私や上司の堀江正知教授も以前は専属産業医として勤めていましたので,その頃の経験も交えて討議することも多くあります.また,時には企業の製品開発の方と新しい製品を労働現場で活用できないか,といったテーマで研究を行うことがあります.もちろん,私たち自身が事業場に赴き,フィールド実験や調査を行うこともあります.毎年秋には医学部の学生が研究室に配属され,彼らを指導しながら一緒に研究を進めていくのも楽しい時間となっています.今回,執筆の機会を頂いたのは,このような交流などでご縁のあったJR東海の産業医,指原俊介先生からのご紹介によるものです.
さて,私の所属する産業保健管理学研究室では,主に労働衛生の政策に関する研究,それから騒音や暑熱,筋骨格系の負荷といった物理因子による労働者への健康影響に関する研究という2つの大きなテーマを取り扱っています.その中で,本稿では,平成16年から厚生労働省の労働安全衛生総合研究事業として行われている,過重労働対策に関する研究活動について紹介させて頂きます.
参考文献
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