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特集 自然毒 刺傷・咬傷―野外危険生物
ハチ・ハチ毒:スズメバチ類の行動と生態―複雑な社会生活と刺針行動を誘起する諸要因について
著者: 小野正人123
所属機関: 1玉川大学農学部生物資源学科(昆虫機能利用学研究分野) 2ミツバチ科学研究センター 3脳科学研究センター
ページ範囲:P.367 - P.372
文献購入ページに移動厚生労働省の人口動態統計1)には,蜂刺症により年間約20~40名もの死亡者が記録されている.特に1984年には,その数が73名に達しており,北海道のヒグマや沖縄県のハブによる犠牲者数を大幅に上回るものとなっている.先進国日本において,現在もなお,野生生物(昆虫)が原因で多くの尊い人命が毎年のように失われているという認識は低いかもしれない.本稿では,蜂刺症の中でもその被害の大半を占めると思われる「スズメバチ類(図1)」に焦点を合わせ,刺針行動の成因などについて行動・生態学的見地から解説したい.
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