icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生74巻5号

2010年05月発行

文献概要

特集 自然毒 刺傷・咬傷―野外危険生物

ハチ・ハチ毒:スズメバチ類の行動と生態―複雑な社会生活と刺針行動を誘起する諸要因について

著者: 小野正人123

所属機関: 1玉川大学農学部生物資源学科(昆虫機能利用学研究分野) 2ミツバチ科学研究センター 3脳科学研究センター

ページ範囲:P.367 - P.372

文献購入ページに移動
はじめに

 厚生労働省の人口動態統計1)には,蜂刺症により年間約20~40名もの死亡者が記録されている.特に1984年には,その数が73名に達しており,北海道のヒグマや沖縄県のハブによる犠牲者数を大幅に上回るものとなっている.先進国日本において,現在もなお,野生生物(昆虫)が原因で多くの尊い人命が毎年のように失われているという認識は低いかもしれない.本稿では,蜂刺症の中でもその被害の大半を占めると思われる「スズメバチ類(図1)」に焦点を合わせ,刺針行動の成因などについて行動・生態学的見地から解説したい.

参考文献

1) http://idsc.nih.go.jp/iasr/18/210/graph/t2101j.gif
2) Wilson EO:The Insect Societies. Belknap Press Harvard, Cambridge, 1971
3) 小野正人:スズメバチの科学.海游舎,1997
4) Ono M, et al:Unusual thermal defence by a honeybee against mass attack by hornets. Nature 377(6547):334-336, 1995
5) 松浦 誠,他:スズメバチ類の比較行動学.北海道大学図書刊行会,1984
6) Hamilton WD:The genetical evolution of social behavior I, II. J Theoret Biol 7:1-52, 1964
7) 小野正人(監修):恐怖のスズメバチ.ナショナルジオグラフィック プレミアムセレクションDVD,クリエイティブコア(株),2008
8) 百田尚樹:風の中のマリア.講談社,2009
9) 小野正人:スズメバチの社会行動を制御する情報化学物質.AROMA RESEARCH 6(3):230-236, 2005
10) Ono M, et al:Components of giant hornet alarm pheromone. Nature 424(6949):637-638, 2003
11) 松浦 誠,他:蜂刺されの予防と治療―刺す蜂の種類・生態・駆除,蜂刺され対策と医療.林業・木材製造業労働災害防止協会,2005
12) 中嶋暉躬:ハチ毒の化学.ミツバチ科学4(1):9-14, 1983
13) 小野正人:都市に現れるスズメバチ―都市適応型スズメバチとは.遺伝54(8):21-26, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら