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特集 自然毒 刺傷・咬傷―野外危険生物
海洋危険生物
著者: 神谷大二郎1 稲福恭雄1
所属機関: 1沖縄県衛生環境研究所
ページ範囲:P.384 - P.388
文献購入ページに移動人間に健康被害を与える海洋生物の一群は海洋危険生物と呼ばれている.これら海洋危険生物が引き起こす刺咬傷被害は,大きく2つのタイプに分けられる.1つはダツやサメなどの,刺す,咬むといった物理的な外傷被害である.2つめは,刺す,咬むという行為と同時に,毒を注入する刺毒・咬毒被害である.沖縄県で報告される刺咬傷事故の多くは,後者によるもので1),毒を有するクラゲやイソギンチャクなどがその代表的な加害生物である.
海洋危険生物の毒は,本来,捕食や自己防衛のために獲得した生存手段であるが,その毒により人間にとって致命的な刺咬傷被害を引き起こすことがある.これらの生物による健康被害は,死亡事故も含め数多く報告されている2).そのため,被害防止対策は公衆衛生上重要な課題の1つである.特にサンゴ礁を中心とする海域は多様な生物相を有し,海洋危険生物も多く生息しているため,未然に被害防止対策を講じていくことが必要である.
本稿では,海洋危険生物の中でも毒による刺咬傷被害を引き起こす生物を対象とし,被害の現状,加害生物,応急処置,沖縄県における被害防止対策の取り組みなどについて概要を述べる.
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