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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生74巻5号

2010年05月発行

文献概要

連載 保健師さんに伝えたい24のエッセンス―親子保健を中心に・14

運動発達をめぐって

著者: 平岩幹男12

所属機関: 1国立成育医療センター 2

ページ範囲:P.423 - P.426

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はじめに

 運動発達で知っておいていただきたいこと,気をつけることはたくさんあります.今回は新生児訪問,乳幼児健診など親子保健での節目での注意しておきたいことを中心にお話しします.

 乳幼児の運動発達ではいくつか覚えておいていただきたいことがあります.

 1) 左右差に気をつける.全体的な反応に目がいきがちですが,左右差はよく見ておく必要があります.筋緊張や動きに左右差がはっきりと見られる場合には,筋肉や関節の問題であっても,脳や脊髄の問題であっても,精密検査の対象になります.

 2) 乳児期から2歳頃までは,一見運動発達が遅れているように見えても,自然に追いついてくる良性の筋緊張低下(benign hypotonia)があります.つかまり立ちや歩行の遅れがある場合に,ただちには障害とは決めつけられません.この場合には,まねをする,動作を理解するなどの知的な発達には異常はありません.

 3) 関節に注意する.運動発達というととかく筋肉に注目しがちですが,関節の動きのチェックも大切です.大きな関節でのチェックになり,私は肘と膝の関節を見るようにしていますが,関節の動きに制限がないかどうか,過伸展がないかどうかは,運動の問題を考える際には大切です.関節の動きに制限がある,関節が硬いという場合,乳児期では精密検査の対象になります.

 4) 低出生体重児の場合には,多くは在胎期間も短いので,修正月齢で判断する必要があります.

 一般の乳幼児健診では,修正月齢ではなく暦年齢で健診を行いますので,特に妊娠36週以前での出生の場合にはマークをつけておく,修正月齢を併記するなどの配慮が必要になります.またそれほど多くはありませんが,一過性の筋緊張の亢進が見られることがあり,脳性まひとの区別に悩むこともあります.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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