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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生74巻5号

2010年05月発行

文献概要

連載 トラウマからの回復―患者の声が聞こえますか?・2

Let's Enjoy Survivors Life!―虐待ママからの飛翔

著者: 福井和絵1

所属機関: 1NPO法人JUST(日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン)

ページ範囲:P.427 - P.430

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 「わが子を虐待してしまう」と,Sクリニックの診察室で訴えてから14年が過ぎ,当時1歳半だった娘が,高校入学の春を迎えた.

 あれから14年も生き延びて,こんな日が来るなんて,当時は想像もできなかった.大げさな表現ではなく,本当に,わが子を殺してしまうのではないか…と思ったのだ.また,小さな娘に暴力をふるってしまうたび,自分のことを「母親失格だ.こんな私は,死んだほうがよい…」と考え,自殺の方法について想いめぐらしながら生きた日々だった.

 今振り返ると,育児のつらさや,自分の親としての至らなさばかりに目が向いて,「かわいい」とか「楽しい」とか感じることを自分に禁じていたかのように過ごしてしまったことが残念で仕方ない.しかし一方で,そのプロセスから得たものも確かにあって,私のその体験が誰かの役に立つのなら,語っていこうと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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