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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生74巻7号

2010年07月発行

文献概要

特集 現場が求める保健師教育

保健師教育の現状と課題:保健師学生,保健師を受け入れている立場から

著者: 森岡幸子12

所属機関: 1前大阪府健康医療部地域保健感染症課 2現大阪府国民健康保険団体連合会保健事業課保健事業

ページ範囲:P.576 - P.579

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はじめに

 医師の養成のためには,患者と研修病院が必要である.同様に,保健師の養成には,地域の人々と活動事例,そして地域実習が行える保健所・保健センターの実習施設の確保が必要である.実習の場だけでなく,そこでの一定期間の実習が必須となる.しかし,近年,養成者数は需要をはるかに超えており,深刻な実習施設の不足を引き起こしている.その上,地域看護実習の単位が他の科目で読み替えられるなど,保健師養成の質保証に負の影響を及ぼしている.

 保健師の専門性は,保健師助産師看護師法には「保健師の名称を用いて保健指導に従事することを業とする」と明記され,法律制度に依拠するのではなく,対象者または対象地域の様々な健康課題を中心とした相談・支援を含めた地域活動によって生ずる.したがって,実践者として地域活動ができる保健師の養成が求められている.保健師教育においては,保健師による地域活動のイメージが持て,地域活動の責任性の理解と態度の形成ができるよう,教育カリキュラムや実習体験が保証されなければならない.

 専門職業人教育に対して各種の職業高校や専門学校が社会的需要を満たしていた時代から,一律大学において職業人養成がなされるようになった.看護師・保健師の養成が大学教育で行われるようになったことは,良い面もある半面,マイナス面もあることは否めない.近年,マイナス面が現場の活動に与える影響を看過できなくなってきた.今こそ危機感を持って,保健師教育のあり方や現任教育を再考していく必要がある.

参考文献

1) 研究代表者・松井通子:平成20年度地域保健総合推進事業「保健師教育における臨地実習のあり方に関する調査研究」,2009
2) 研究代表者・森岡幸子:平成21年度地域保健総合推進事業「保健師教育における新カリキュラムに対応した臨地実習のあり方に関する調査研究」,2010
3) 平成19年度・20年度厚生労働省地域保健・老人保健事業報告
4) 大阪府保健士活動指針.平成12年3月発行
5) 研究代表者・渡辺好恵:平成20年度地域保健総合推進事業「市町村における新任の人材育成のプログラムの作成に関する調査研究」,2009
6) 「市町村保健師活動の再構築に関する検討会」報告書,平成19年3月

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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