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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生74巻9号

2010年09月発行

文献概要

視点

地区診断の重要性

著者: 関龍太郎1

所属機関: 1松江総合医療専門学校

ページ範囲:P.728 - P.729

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公衆衛生の原点

 まず,公衆衛生の原点を見てみよう.公衆衛生の定義はウィンスロー(1949)により「公衆衛生は,共同社会の組織的な努力を通じて,疾病を予防し,寿命を延長し,身体的・精神的健康と能率の増進をはかる科学・技術である」とされている.「健康」の定義は「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり,単に病気あるいは虚弱でないことではない」(世界保健機関憲章,1948)となっている.2つの定義から,重要なことは,「公衆衛生は,身体的,精神的に良好だけでなく,社会的にも良好でなくてはならないし,それを公衆衛生として推進していくためには,共同社会の組織的な努力が必要であること」である.また,日本国憲法第25条においては「①すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する.②国は,すべての生活部面について,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と明記されている.このように憲法に,国家責任の原則,平等の原則,最低生活保障の原則という3原則が記されている.これらに基づいて,戦後,日本は公衆衛生分野で各種の法律を充実させてきた.しかし1980年頃から,それまで充実してきた公衆衛生が,新自由主義の施策によって見直されてきた.すなわち各種事業が,「市場原理導入,公的責任の縮小,自己負担の増加,規制緩和,民営化」の影響を受けてきていた.政権交代後,その新自由主義に対しても,反省が起きている.

参考文献

1) 関龍太郎,他:過疎地帯における出稼ぎ労働者の実態.公衆衛生36(11):721-728,1972
2) 関龍太郎,他:島根県における「脳卒中予防特別対策事業」の評価.公衆衛生40(7):501-506,1976
3) 関龍太郎:脳卒中予防対策の疫学的評価.米子医学雑誌37(5):355-371,1986
4) 関龍太郎:デンマークの高齢者保健福祉政策に学ぶもの.海外社会保障情報108:72-84,1994
5) 関龍太郎:デンマークの高齢者福祉政策をささえるもの.海外社会保障研究162:53-66,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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