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文献概要
連載 トラウマからの回復―患者の声が聞こえますか?・6
信じる者は救われる?―そのままの私でいること
著者: 金根由希1
所属機関: 1NPO法人JUST(日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン)
ページ範囲:P.799 - P.802
文献購入ページに移動私は幼い頃から母親に暴力を振るわれていた.はっきりとした記憶はないのだが,小学生の頃からささいな理由で叩かれ,蹴られ,お風呂に入っている最中,下着のまま外に出され,「生意気だ」「死ね」「あんたがいなきゃ離婚できた」と怒鳴られていた.食器が飛び,フォークやスプーンが台所から飛んで,ピアノに傷がついた.泣きながら謝れば「どうして謝る」と怒られる.次第に母が怒り出すと急に眠くなってしまうことに気がついた.ふと気がついたら眠っていて,母はそのことに気づかず,1人で怒鳴っていたこともある.
私の家は在日韓国人で,父はパチンコ屋を経営し,平日は私とほぼすれ違いの生活だった.夜中に帰ってくる父は,母が私に暴力を振るっていることを全く知らなかったようだ.夫婦仲が悪く,子ども心に母を「かわいそう」と思っていた私は,どんなに暴力を振るわれても,父に言おうとは思わなかった.そんなことをしたら家が壊れてしまうと,直感的に感じていたのかもしれない.
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