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連載 保健師さんに伝えたい24のエッセンス―親子保健を中心に・22
思春期の性の問題点
著者: 平岩幹男12
所属機関: 1国立成育医療センタークリニカルアドバイザー 2
ページ範囲:P.56 - P.59
文献購入ページに移動したがって性の問題を考えるときには,その社会的な背景や,社会的な合意のあり方についても,認識する必要があることになります.たとえば30歳の男女が性交渉をするとしたら,反社会的要素がない限り誰も不思議には感じないと思いますが,これが15歳の男女の性交渉であれば,現実にはそうした事態は少なくないにもかかわらず,違和感を覚える人が多いと思います.しかしわずか100年前のわが国では,15歳同士の性交渉はごく一般的なことでした.以前に思春期の子どもたちの性交渉がなぜ問題かということを,中学校3年生の子どもを持つ母親を対象として調査をしたことがあります.性交渉は認めがたいという結論は100%でしたが,その理由としては,経済的に自立できていない,身体的に負担がかかる,子どもが生まれても責任ある社会生活が送れないことなどでした.しかしこれらの理由は個々にはクリアーすることができますから,本当は個人の価値観だけで決めてしまうのではなく,社会として対応する基本的な合意が必要であり,それに基づいた対応が行われるべきであると思われます.そうでなければ,実際に問題を抱えてしまった子どもたちが非難されたり,困難に直面したりするという状況を変えることはできません.
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