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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生75巻1号

2011年01月発行

文献概要

予防と臨床のはざまで

第16回産業保健サービス・調査・評価に関する科学分科会ダイジェスト

著者: 福田洋1

所属機関: 1順天堂大学医学部総合診療科

ページ範囲:P.46 - P.47

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 2010年10月6~8日,ICOH(国際産業衛生学会)の産業保健サービス・調査・評価に関する科学分科会(SC HSR & EOH)がロンドンで開催されました.ロンドンはすでに秋の装い,2008年に700人が集まったパリの会議と比べて,今回は35人前後と少人数のワークショップ形式でした.テーマは“Dissemination & Implementation of Evidence-Based OH Practice”(根拠に基づく産業保健サービスの普及と実施).この科学分科会で一貫して取り組んでいるEBOH(根拠に基づく産業保健)をさらに推進しようという狙いです.

 6日のプレイベントを経て,7日の学会初日に私が参加したのは,「産業保健活動のオーディット(監査)」のセッションです.英国の国営医療制度(NHS)の品質評価を行うHealthcare Commission(2004年,2009年からCare Quality Commission)によると,監査の目的は「専門家の実践の改善と,提供されるサービスの総合的な品質を高めることにより患者のアウトカムを高めること」で,産業医や看護職の活動を根拠に基づいたガイドラインと照らし合わせて継続的に検証することにより,産業保健活動の品質が向上するとしています.セッションでは,英国やオランダでの産業保健活動のオーディットについて説明されました.特にオランダからは,2008年から行われているQuality Visitation(品質巡視)が紹介され,5年に1度,5人の専門家のレビュー,30人の患者満足度の評価の実施が全ての産業医に法律で義務づけられているとのことでした.このセッションで武藤孝司教授(獨協医科大学)は,日本のヘルスプロモーションの評価について,RCT(Randomised Controlled Trial)や中小企業での研究が不足していることなどを述べました.また諸外国との産業保健活動の比較から,日本の産業保健活動の幅は広いものの,ILO/WHOによる「すべての労働者をカバーする」という産業保健の目的に照らして,まだ課題が多いことが述べられました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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