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文献概要
特集 睡眠と健康
現代社会における睡眠障害の実態と疫学
著者: 土井由利子1
所属機関: 1国立保健医療科学院統括研究官疫学調査研究分野
ページ範囲:P.746 - P.750
文献購入ページに移動エジソンによる発熱球の発明(1879年)から100年以上が経ち,私たちの文明は,夜でも昼間の明るさを誰もが簡単に手に入れることを可能にした.日が暮れても,仕事を続けることができるし,塾で勉強することもできる,深夜にコンビニエンスストアで買い物さえできる.一昔前なら昼間に済ませていた活動の時間帯が夜間に伸び,昼夜の区別のない24時間社会を作り上げた.眠ってなどいられない魅力的な現代社会では,睡眠以外の活動に自分の時間を配分するために,睡眠時間を削り続け,睡眠負債を抱え込んでしまった人たちが増えている.
24時間社会は,潤沢な電力供給という必要条件の下に加速され拡大したが,2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により,原子力発電所からの電力供給が激減する事態となって,状況は大きく変わった.発災後,当該電力会社管内においては,計画停電や電力使用制限令の下で節電が実施され,今に至っている.
この現在進行形の状況が,今後,私たちの人生や生活にどのような影響を及ぼすのか予測することは難しいが,このような時期だからこそ,未来を見つめる機会として,これまで私たちが築き上げてきた社会について,振り返ってみる意義は大きいと思われる.そういう視点に立ち,本稿の睡眠と健康の問題について,筆を進めたいと思う.
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