icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生75巻10号

2011年10月発行

文献概要

沈思黙考

精神医療の変遷

著者: 林謙治1

所属機関: 1国立保健医療科学院

ページ範囲:P.750 - P.750

文献購入ページに移動
 人は体調が悪くても軽度で済めばあまり気にしない.しかし,症状がある程度重ければ人は医療を求め,そして適切な治療法に出会ったときにやっと安心する.ところが病名すら診断がつかないとなると,医師は治療方針が定まらず,患者はあせりを感じる.その間,医師は取りあえず対症療法を続け,経過を見ながら病名を模索する一方,自然治癒に期待をかける.多くの難病患者は「診断名にたどり着くまで長い期間かかったことが何よりも精神的に負担であった」と訴えている.医師も患者も,診断は治療への第一歩と認識しているからである.

 近代医療は,主観的な訴えに結びつく客観的臨床所見を含む生物的・生化学的根拠を求めて進歩してきた.主観的な訴えは測定が難しいため,現代では生物的・生化学的根拠にますます依存するようになり,パソコン場面ばかりに向かう医師の姿が目立つようなった.しかしながら,生化学的測定値にしても,正常と異常の間のカットオフ・ポイントを決めるのはやはり簡単ではない.メタボ検診に見るように,HbA1Cのカットオフ・ポイントの設定によっては,要指導の対象者が大幅に違ってくる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら