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特集 放射線と向き合う
環境放射能モニタリングと環境放射能研究の重要性
著者: 廣瀬勝己1
所属機関: 1上智大学理工学部物質生命理工学科
ページ範囲:P.842 - P.845
文献購入ページに移動2011年3月11日の東日本大地震とそれに伴う巨大津波の結果,東京電力福島第一原子力発電所の原子炉で深刻な事故が起こり,主に3月12日から16日にかけて多量の放射性物質が大気中に放出された.放出された主な放射性核種のうち,131Iは160PBq(1PBqは1015Bq),137Csは15PBqと推定されている1).その結果,原子力発電所周辺ばかりでなく,原子力発電所から30km以上離れた地域でも,高濃度の放射能に汚染された地域が出現した.
さらに,3月21日から23日の降雨で,関東を中心に広範囲に福島原子力発電所起源の放射性物質によるフォールアウトが起こり,上水,農作物等の放射性物質による汚染が起こった.そのため,環境の放射能モニタリングばかりでなく,多様な環境試料について放射能計測が要求された.
なお,放射線・放射能計測は,その多くが既に確立された技術である.この間,多くの環境放射能モニタリングが,多大の量力をかけて実施された結果,膨大な放射能モニタリングデータが得られている.しかし,高濃度で広範囲に亘る多様な放射性物質による汚染に対して,十分に対応できるモニタリング体制であったかどうかは,今後検証される必要がある.同時に,モニタリング結果の科学的解析やその評価の裏付けを与える環境放射能研究体制があったのかについても,検証される必要があるだろう.
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