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これからの予防接種のあり方を考える
著者: 平山宗宏1
所属機関: 1日本子ども家庭総合研究所
ページ範囲:P.820 - P.821
文献購入ページに移動天然痘が地球上から根絶できたとして,1980年にWHO(世界保健機関)が根絶宣言を発表した時には,人類は病原体に勝ったと喜んだものだが,病原体側は次々と新手を繰り出して反撃してきているように思える.アフリカや南米で次々に発見された出血熱や,その後のSARS(重症急性呼吸器症候群),ニパウイルス感染症,強毒トリインフルエンザなど,枚挙にいとまがないほどだ.ただ,これらのウイルス病は流行地が限られており,人的被害も数的には少ないので,強毒トリインフルエンザ以外はワクチン開発には至っていない.
2009年4月にメキシコに端を発した新型インフルエンザは,世界的にもわが国にも大きな影響を及ぼした.わが国でも,強毒トリインフルエンザH5N1ウイルスがヒトの間の流行性を獲得して侵入するのを怖れていたので,新型インフルエンザが出現した時には,H5N1を想定して立てていた緊急対策を適用して対応した経緯がある.この新型インフルエンザは,幸い毒性が当初考えられたほど強くなかったので,WHOは2010年8月に警報を解除し,わが国でも2011年4月から行政用語としての新型インフルエンザは解消された.現在では従来流行していたソ連型が消えて入れ替わってしまった形で,2009年型が季節性インフルエンザになっている.
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