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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生75巻11号

2011年11月発行

文献概要

資料

地域住民を対象とした山形県うつ病予防対策事業と自殺率低下との関連性についての検討

著者: 大類真嗣1 荒木京子2 石澤真由美3 有海清彦2

所属機関: 1山形県立鶴岡病院精神科 2山形県精神保健福祉センター 3山形県置賜保健所

ページ範囲:P.895 - P.899

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背景

 わが国の自殺者数は平成10年に急増し,山形県でも平成9年の人口10万人対自殺率22.3(全国18.8)から翌年に28.7(全国25.4)へ急増した.その後上昇傾向が続き,平成18年には31.7(全国23.7)とピークに達し,全国と比較して高い水準で推移していた1).このような背景から,平成15年に山形県自殺予防対策検討会を設置し,自殺対策の方向性を検討した結果,特に高齢者の自殺率が高く,保健医療領域において早急に取り組むべき自殺対策として,うつ病対策が上げられた.

 そこで平成17年度に1町を選出して先行事業を実施し,平成18年度から4か年計画の山形県うつ病予防対策事業へと拡大した.これらの事業は,先に実施し自殺率低下といった成果が表れた新潟県2),秋田県3,4),青森県5,6)の取り組みと同様の,①自殺対策に関する協議会設置,②高齢者うつスクリーニング,③地域住民を対象とした心の健康づくり講演会,④住民リーダー等に対する研修会,および⑤広報活動,の内容で構成されている.

参考文献

1) 厚生統計協会:国民衛生の動向2010/2011,財団法人厚生統計協会,2010
2) 高橋邦明,他:新潟県東頸城郡松之山町における老人自殺予防活動―老年期うつ病を中心に.精神経誌100(7):469-485,1998
3) 本橋豊:秋田県における高齢者の自殺予防対策.J Natl Public Health 52:317-321,2003
4) Motohashi Y, et al:A decrease in suicide rates in Japanese rural towns after community-based intervention by the health promotion approach. Suicide and Life-Threatening Behavior 37(5):593-599, 2007
5) Ono Y:Suicide prevention program for the elderly;the experience in Japan. Keio J Med 53(1):1-6, 2004
6) Oyama H, et al:Community-based suicide prevention through group activity for the elderly successfully reduced the high suicide rate for females. Psychiatry Clin Neurosci 59:337-344, 2005
7) 大類真嗣,他:山形県における自殺死亡の地域較差と人口動態的および社会経済的要因との関連性についての研究.公衆衛生71(7):623-627, 2007
8) 本橋豊,他:秋田県の自殺死亡の地域差と社会生活要因に関する研究.厚生の指標46:10-15, 1999
9) 野原勝,他:自殺の地域集積性とその要因に関する研究.厚生の指標50:17-23, 2003
10) 土田里美,他:自殺は減らせる―庄内地域の取り組みについて.山形県公衆衛生学会講演集36:43-44, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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