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沈思黙考
「合理主義」の限界
著者: 林謙治1
所属機関: 1国立保健医療科学院
ページ範囲:P.941 - P.941
文献購入ページに移動話は変わるが,第二次世界大戦後一人勝ちしたアメリカは,アメリカ流の民主主義という政治システムを普遍的な価値を持った政治体系とみなして国際的に影響を及ぼす努力をしてきた.現実の世界を見てわかるように,うまくいった国もあれば,かえって混乱に陥った国もある.私は政治学者でないので複雑な要素を勘案しながら評価する能力を持ち併せていないが,素人としての感想を述べさせていただければ,アメリカでは物事を処理する際になるべく合理的に説明できるようにふるまう傾向がある.しかし世の中は利益相反に満ちており,つねに合理的に解決できるとは限らない.合理性を表面的にあくまで主張した場合,結局武力に訴えることもあって,本来の合理性は意味を失い,自己矛盾に陥ってしまう.
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