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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生75巻2号

2011年02月発行

文献概要

特集 医薬品・ワクチン開発をめぐる諸課題

ドラッグラグとは何か―様々なtradeoffを考える必要がある

著者: 小野俊介1

所属機関: 1東京大学大学院薬学系研究科

ページ範囲:P.90 - P.93

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新薬へのアクセスの遅れの状況

 ドラッグラグを問題視し,解決策を提案しようとする議論の多くで,ドラッグラグが定義されていない.定義不在だと,どんな結果が生じても「我々の対策によってドラッグラグが解決した」と強弁できる.こうした状況に我々がいること自体が,ドラッグラグ問題の深刻さを示している.

 ドラッグラグの定義を例えば「日本と米国(または欧州)の両国で承認された新薬群での販売開始日の遅れ」と定義するならば,2000年から2006年までに承認された新薬では約4年程度である1).医薬品医療機器総合機構(Pharmaceutical and Medical Devices Agency:以下,PMDA)が2010年に公表した試算では,2009年度の承認品目では2.0年とされる.

参考文献

1) 石橋慶太:日本におけるドラッグ・ラグに関する調査.リサーチペーパーNo.40:5-25,医薬産業政策研究所,2008
2) Hirai Y, et al:Delay in new drug applications in Japan and industrial R & D strategies. Clin Pharm Ther 87:212-218, 2010
3) Griffin SC, et al:Dangerous omissions;The consequences of ignoring decision uncertainty. Health Economics, DOI:10.1002/hec. 1586, 2010
4) Yamada T, et al:Analysis of pharmaceutical safety-related regulatory actions in Japan;Do tradeoffs exist between safer drugs and launch delay? Annals of Pharmacotherapy(in press).
5) Olson MK:Managing Delegation in the FDA;Reducing Delay in New-Drug Review. Journal of Health Politics, Policy and Law 29:397-430, 2004
6) Carpenter D, et al:Drug-review deadlines and safety problems. N Engl J Med 358:1354-1361, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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