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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生75巻5号

2011年05月発行

文献概要

特集 基礎から学ぶ食品衛生

輸入食品と検疫所

著者: 厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課検疫所業務管理室

所属機関:

ページ範囲:P.381 - P.384

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はじめに

 戦後,飛躍的な成長を遂げたわが国では,物資欠乏の時代から世界有数の富める国へと,わずか50年で到達し,食生活においては数多くの食品が豊富に流通し,多種多様な食品が,かつ世界各国の食品が,日本に居ながらにして入手が可能となっている.また,旅行やビジネス等で海外渡航をする人が増え,国際交流が活発な現代において,SARS(重症急性呼吸器症候群),エボラ出血熱等の新たな感染症や,マラリア等の克服されたかと思われた感染症が,新興・再興感染症として人々の前にその姿を現し,新たな脅威となっている.

 検疫所はこれらの諸問題により人々の生命,健康の安全が脅かされる事態を未然に防止するため,全国の主要な海港・空港で各種業務に取り組んでいるところであるが,本稿では,輸入食品に焦点を絞って述べることとしたい.

 食品は,日常生活を支える「衣・食・住」の三要素の一つとして,人間の生活にとって必要不可欠なものであり,安全な食品が安定的に供給されることが国民生活,社会・経済の基盤となっている.われわれの豊かな食生活について食料需給の観点から見ると,その多くを外国に依存しており,輸入食品の関係者は国民生活,社会・経済の基盤に大きな責任を担っていると言っても過言ではないが,一方,輸入食品に依存せざるを得ない食生活の現状で,輸入食品の安全性に対して常に潜在的な不安が取り沙汰されている.

 これは,輸入食品特有の生産から流通までの情報不足,輸出国の法規制や衛生水準の違い,輸出国の突発的事情に振り回される事情等が挙げられる.輸入食品の安全性については,残留農薬,動物用医薬品の残留,食品添加物,食中毒菌,放射線汚染等,様々な問題が指摘されてきたが,新たに発生する問題にも適切に対応するため,検疫所では日々変化する輸入食品の監視を行っていることから,本稿では食品の輸入手続きに係る概要や検査体制,および違反状況等について紹介したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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